覆面歯科医がこっそり伝える「歯医者さんの選び方」

~あなたに合った歯医者さん探しをお手伝いするブログ~

お医者さんが選ぶいい歯医者さん

 

 

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こんにちは、覆面歯科医です。

 

先日ある認知症専門医の先生のブログで歯科受診の重要性や歯医者さん選びについての記事を読ませていただきました。

 

とても分かりやすい内容で、その中に歯医者さんの選び方についての項目もありましたので、歯医者さん選びについて勝手に現場の歯科医師としての見解も含めご紹介させていただきます。

 

引用させていただくブログ

 

 

ブログを書いた先生について

このブログを書いている長谷川 嘉哉先生は岐阜県で認知症専門医として認知症外来や在宅医療、介護サービスなどを行っている方でした。

 

詳細はプロフィールをご確認いただければと思いますが私が注目したポイントはこの先生は医科のクリニックに歯科ユニット(歯科医院にある歯科用のチェアー)を設置して、歯科衛生士も雇用しているというところです。

 

日頃医科歯科連携を行っていても、歯や口の中のことをあまり重要視していただけない医科の先生が多い中で医科クリニックに歯科ユニットを設置し、歯科衛生士を雇用しているという歯科への理解の高さと実行力にまず感服しました。

 

また、恥ずかしながら歯科関係でありながらブログを拝見するまで知りませんでしたが

 

「認知症専門医が教える!脳の老化を止めたければ歯を守りなさい!」(長谷川 嘉哉著)

 

という本の著者でもありました。これから購入し、読ませていただくため内容まではお伝え出来ませんがタイトルからも歯の大切さについて考えていただいていることがわかります。

 

歯医者さん選びについて

一般の方が歯医者さん選びについて書いているものや歯科医師が歯医者さん選びについて書いているものなどはよく見ますが、この長谷川先生がお伝えしている歯医者さん選びはそれらとは一味違ったポイントでした。

 

歯科医師としてもなるほどなと思うことも多くあったため、記事の内容を引用させていただきながら、歯科医師として私的検討も加えてご紹介させていただきます。

 

ブログより

 

4.間違いない歯科医の選び方

間違いない歯科医を選ぶポイントは、先ほど、ご紹介したように自費診療のメリットをしっかりっ説明してくれることが一つです。それ以外にも世の中に2~3割しかないメンテナンスに取り組んでくれる歯科医にかかることが大事です。以下も参考になさってください。

 

長谷川先生はこのブログの中で歯科の保険診療の限界保険外診療についてのメリット、またそれについて説明することの重要性を書いています。

 

歯科の保険診療については当ブログの「保険診療のいま」も合わせてご参照いただければと思います。


 

そして、特に歯周病の予防歯科への関心が高く、メンテナンスといった定期管理型の歯科医院を選ぶポイントについての項目を挙げていました。

 

一歯医者がご高名な先生のブログにコメントするなど、と思いましたが僭越ながらご紹介させていただきます。

 

4-1.ホームページは患者さんもスタッフも見ている

今の時代、患者さんへの丁寧な説明は必須です。そのためには、ホームページで歯科クリニックの理念・取り組みを情報発信することは患者さんへの最低限の義務です。

その上、ホームページは患者さんだけでなくスタッフも見ています。ホームページもない歯科診療所には優秀な人材も集まりません。

 

早速医療系の経営やマネジメントについてのプロである方らしい内容で

丁寧な説明は必須、

情報発信は最低限の義務、

そしてそこがしっかりしていないと優秀な人材確保もできない!

とズバッとコンサルティングしてもらっているかのような内容で私も背筋がピンとなりましたがやはり首都圏や都市では歯科医院数が多いこともありホームページを持っていることは当たり前となりつつあると思います。

 

地方の歯科医院や都心などでも開院年数の長い歯科医院ではホームページを持っていない歯科医院もありますが、実際に受診する前にその歯科医院の情報を多く得られるという点ではやはりホームページを参考にすることで選びやすくなると言えます。

 

4-2.歯科衛生士がいるか?

歯科衛生士がいないような歯科医に受診してはいけません。従来の、歯が痛くなったら治療するという昔のスタイル。このレベルの歯科医には、そもそも歯科衛生士さんは不要です。歯科医師のレベルも低いと言わざるを得ません。

 

歯科の開業医は全国で7万件程度と言われています。平成28年末現在の就業歯科衛生士数は123,831人、そのうち90%にあたる10万人程度が診療所で働いています。つまり、7万件ある診療所1件当たりの歯科衛生士の数は1.5人程度なのです。しかし、これはあくまで平均値であり、現実は偏在しています。つまりメンテナンスを積極的に行っている歯科クリニックに歯科衛生士は集まっています。逆に、いまだに治療の助手程度にしか扱われていな歯科クリニックには、歯科衛生士は集まらないのです。

 

これは先にも挙げた予防や定期管理について重視する場合には歯科衛生士が必須であるという考え方からはその通りです。

 

歯科医院にいる歯科衛生士の人数についてもありましたがそもそも歯科衛生士が何人いるかを把握することが難しいこともあります。

 

歯科医院で働くスタッフとして歯科衛生士も歯科助手も女性であることがほとんどであるため一般の方がそれらを見分けることは難しい、というよりは不可能です。

そのため歯科医院側が歯科衛生士と歯科助手を、

『ユニホームで歯科衛生士と歯科助手を分けている』

『見えるところにスタッフ紹介など歯科衛生士と歯科助手がわかるようにしている』

といった歯科衛生士を歯科衛生士として、歯科助手は歯科助手としてしっかりと分けており、そのうえで歯科衛生士数が多いということが大切です。

 

歯科衛生士と歯科助手は国家資格取得の違いからできる業務内容が異なり、給与も異なります。人件費を考えた場合、歯科衛生士の方が高くなります。そのため人件費の高くない歯科助手が多くいて、歯科衛生士と歯科助手が見分けにくい状態で業務内容も曖昧という歯科医院はあえてそのようにしている可能性もあり、それはいい歯医者さんとは言えません。

 

この項目について付け加えさせていただくと歯科衛生士と歯科助手がはっきりとわかる状態の上で、歯科衛生士数が多い医院は予防や定期管理においては力を入れている歯科医院と言えます。

中でも歯科衛生士が担当制である、歯科衛生士専用の診療チェアがあるといった歯科医院は特に予防や定期管理のスタイルと言えます。

 

4-3.チェアの数が認知症を予防する

できれば歯科診療所を選択する場合、診療チェア数は5台以上のクリニックが安全です。実は歯科クリニックの診療チェア数の平均は3台です。しかし3台ではどうしても治療が治療が中心になってしまい、メンテナンスが十分に行えません。

 

こういった話をすると必ず「当院は小規模ですが丁寧な治療をしています」との反論が出ます。しかし我々には外から診療レベルがわかりません。あくまで確率論から言えば、チェアーが5台以上ある歯科診療所に受診した方が、安全と言えるのです。

 

診療チェアの数についてです。

こちらについてはチェアの数と歯科医師や歯科衛生士数とのバランスが重要かと考えます。

例えば診療チェア3台の歯科医院。歯科医師1名、歯科衛生士2名。

患者さんが3つのチェアに同時に座り、歯科医師が3つのチェアを行き来しながら3人を同時進行的に治療を行って、型を取る、詰め物をするなどサポート的な処置を歯科衛生士が行う。

このような診療スタイルの場合、これは治療中心の歯科医院と言えます。

 

一方同じくチェア3台に対して歯科医師1名、歯科衛生士2名。

患者さんが3つのチェアに同時に座り、一人は歯科医師が付きっきりで治療。

他のチェアでも歯科衛生士2名がそれぞれ各チェアに付きっきりで治療。

このような診療スタイルの場合は予防や定期管理の歯科医院と言えます。

 

また、これがユニットが5台以上となっても歯科医師の人数が増えただけで患者さんの同時進行型の診療スタイルでは治療中心であると言えます。

したがって確率論から言えば5台以上のチェアの医院が安全と言えるかもしれませんが実際には一つのチェアに対して歯科医師や歯科衛生士がどのようなスタイルで診療にあたっているかを見ることで治療中心か予防やメンテナンスに力を入れているかをはかる目安になると思います。

 

4-4.できれば医療法人

メンテナンスを積極的に行うには、それなりの設備・人の雇用が必要になります。そのためには、歯科クリニックの経営的基盤が不可欠です。一般的には、多くの患者さんに支持されて年商が一億円を超えると個人立から医療法人になることが多いようです。2016年10月1日現在の資料では歯科クリニック68,940件のうち、医療法人は13,393件と約19.4%です。

 

不思議ですが、自分が医科歯科連携を始めて、積極的なメンテナンスをしてくれる歯科医院が2~3割である、と感じた数字に近いのです。

 

これも医療関係の方ならではの着眼点で関心しました。

設備や人件費の確保のためには当然お金が必要であるため、基盤としてしっかりしている医療法人を選ぶという点では良い判断材料になります。

先にも書いたように歯科衛生士と歯科助手では歯科衛生士の方が人件費は高くなるため、その歯科衛生士を必要な人数だけ雇用するという部分でもお金は重要です。

 

あえてポイントを追加すると治療中心で行う医院でもそのスタイルで収益を上げることが可能であるため予防や定期管理に重きを置くのであれば、医療法人であるということでスクリーニングした後にどのような診療スタイルであるかを合わせて判断すると確実です。

また、医療法人ではない個人医院であっても予防や定期管理に力を入れている歯科医院も当然あります。

 

4-5.マスクを取って説明をするか?

接遇を教える先生や歯科大学では、「患者さんに説明するときにはマスクを取って説明する」ように指導されるようです。しかし、実際の歯科医さんでは、なかなか実践されていないようです。しかし、私がお付き合いしている優秀な歯科医の先生は、必ずマスクを取って説明されます。一度気にしてみてください。

  

最後に接遇についてですがこれは納得の項目です。

その歯科医院がいかに細部にも気配りが行き届いているかを見るためのポイントとしてはもってこいだと思います。

マスクと治療用手袋(グローブ)は治療の時だけ、それ以外は外す。

これ一つで接遇+感染対策への配慮を同時に判断することができます。

 

最後に

今回は長谷川先生のブログを引用させていただき、歯科医師としての私見も交えていい歯医者さんの選び方についてお伝えしました。

率直に歯科のことをここまで考えていただいている医科の先生がいらっしゃることがとてもうれしかったです。

 

今回の歯医者さん選びのポイントとしては長谷川先生が推奨するような歯周病の予防やメンテナンスをしっかりと行っていきたいという方にはとても重要なポイントが抑えられていると思います。

 

現場の歯科医師として日頃から気を付けることを改めて考えるきっかけとなり、私自身とても勉強になりました。

みなさんの歯医者さんの選び方のご参考にしていただければと思います。

 

今回もお読みいただきありがとうございました。

これからも歯医者さん選びについてお伝えしていきたいと思います。

 

 
























































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































痛くない歯医者さんは上手な歯医者さん?

  

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こんにちは、覆面歯科医です。

いい歯医者さんを選ぶ基準の一つとして歯医者さんの腕が良いかということがあると思います。

 

私は日頃歯科関係のお仕事ではない方とお話をするときに

「どのような歯医者さんが上手な歯医者さんだと思いますか?」

という質問をすると

「治療が痛くない歯医者さん」

という答えの方が多くいらっしゃいます。

 

確かに痛みを伴うことが多い歯医者さんでの治療において痛みがないというのは大変喜ばしいことだと思います。

特にむし歯で歯を削るときは歯の神経が感じる痛みであるため、とても強い痛みを伴うこともあります。

 

そこで今回は治療での痛みと上手な歯医者さんの関係についてお伝えしていきたいと思います。

 

痛みの出どころによる違い

歯医者さんで治療を行う際に感じる痛みにはどのようなものがあるでしょうか。

「歯の治療の痛みだから痛いのは歯でしょ。」

確かそうですが痛みを感じている部分もいくつかに分けることができます。

 

①歯の内部にある神経が感じている痛み

 硬い歯の内部には歯髄といわれる歯の神経や血管があり、その神経に刺激が伝わることにより痛みを感じることがあります(図の赤い部分)。

刺激は触る(擦る)、熱い、冷たいといったものが一定以上の度合いになると体にとって危険な刺激と判断されて痛いと感じるようになっています。

また、神経が刺激に対して敏感になっている場合には通常痛みとして感じないほどの刺激でもしみる、または痛いと感じることがあります。

 

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②歯の周りの歯ぐきが感じている痛み

 歯の周りには歯肉といわれる柔らかい部分があります。いわゆる歯ぐきです。

この部分は先の尖ったものなどで触ると痛みを感じることがあります。

これは『歯が痛い』というよりは『歯ぐきが痛い』という表現が正しいと言えます。

火傷するほどに熱いものが触れれば当然痛みを感じますがそうでない場合は水や風をかけるといったことでは痛みを感じることはありません。

 

③歯を支えている骨などが感じている痛み

 歯の根っこは歯槽骨といわれる骨と靭帯によって支えられています。

この歯根の周りにある靭帯や骨を切る、引っ張るといったことをすることで痛みを感じます。

 

④唇や口の角を引っ張る痛み

 唇や口の角は柔らかいためある程度引っ張っても痛みを感じることはありませんが強く引っ張ることによって痛みとして感じることがあります。

 

これらの痛みについて歯医者さんでのどのような治療と関連しているか説明します。

 

痛みを感じる部分で分ける治療内容

①歯の神経が痛みを感じる治療

1)神経がある歯を削る治療

神経まで多少距離があっても削る摩擦や熱により痛みを感じます。

もちろん神経に直接触れると極めて強い痛みを感じます。

 例:むし歯を削る治療、むし歯などで歯の内部(神経)を触る治療

 

2)水や風をかける治療

歯の神経は冷たい・熱いといった温度の変化も感じることができますがその刺激が強いことで痛みとして感じます。

詰め物をつける前に水や風をかけるとしみる、または痛いと感じるのはこのためです。

また、先にも書きました神経が受ける刺激に対して敏感になっている状態(知覚過敏)では健康な状態と比べて、より少ない刺激でしみる、または痛いと感じることがあります。

 例:原因の歯を探る検査、詰め物をする前処理

 

②歯ぐきが痛みを感じる治療

1)歯の汚れを取る治療

電動で回転するブラシを使って歯の表面の清掃を行う際に歯ぐきをブラシで擦ることで痛みを感じることがあります。

 例:歯面の清掃(クリーニング)

 

2)浅い部分の歯石を取る治療

歯ぐきの縁よりも上にある見えやすい部分についた歯石を取る治療を行う場合はお水を出しながら細かな振動(超音波振動)によって汚れをはがし取るか先の細い道具を使用して手作業で歯石を取り除きます。

これが歯ぐきに当たる場合に痛みを感じることがあります。

 例:歯石の除去

 

3)深い部分の歯石を取る治療

歯ぐきの縁と歯との間には歯周ポケットといわれる溝があり、その歯周ポケット内で歯の根っこ(歯根)の表面についた歯石を取り除き、歯根の表面の汚れを落としながらきれいに整える治療は歯ぐきに痛みを感じることがあります。

 例:深くを探る歯石の除去

 

③歯を支えている骨などが痛みを感じる治療

1)歯を抜く治療

歯を抜く治療は歯根とそれを支える周囲の骨が離れる際に間にある靭帯も切断されているため、痛みを感じます。当然歯を抜く際には麻酔をして行います。

 例:抜歯治療

 

④その他治療で感じる痛み

1)器具や指で口を引っ張りながら行う治療

奥歯の治療やお口が大きく開きにくい方の治療を行う場合、治療部分をよく見る・頬や舌に器具が当たらないようにする・乾燥した状態を保つといった目的のために唇や口の角を引っ張りながら治療を行うことがあります。この際引っ張る強さによっては痛みを感じることがあります。

 例:口の中に器具を入れる検査や治療全般

 

痛みを感じなくする方法

歯の神経の痛み、歯ぐきが感じる痛み、歯を支えている骨などが感じる痛みについては麻酔を行うことで痛みの感覚を麻痺させて痛みを感じなくすることができます。

ですから痛くない治療が麻酔によるものであれば腕の良しあしに関わらず痛みは感じないということになります。

極端な言い方にはなりますが麻酔をして、それが効いていれば皆上手な歯医者となってしまいます。

歯医者としては麻酔さえしっかりすれば治療が上手と思っていただけるのであればこんなに簡単なことはありませんがそれだけでは芸がありません。

では痛みを感じないことと上手かということに関係がないかというと麻酔に対してやその他については上手な歯医者さんと言えることはあるのでご紹介します。

みなさんがあまり気が付かないポイントをこっそりお伝えします。

 

①麻酔の痛み

 痛みを取るためにする麻酔ですが、歯ぐきに注射をするので麻酔自体も痛いと言えます。

その麻酔の痛みを和らげる方法として

 

・表面麻酔を使用する

・注射の針を刺すところ、角度、麻酔の薬を入れる量や速さ、圧といったことに注意する

 

ということで麻酔そのものに痛みを感じにくくするということができます。

電動の注射器(下のようなもの)を使用するのもそのような効果を自動で行うことが目的であったりします。

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ということで麻酔が痛くない歯医者さんは麻酔が上手な歯医者さんであったり、患者さんの痛みに対して配慮のある歯医者さんであるということは言えます。

麻酔もなくて痛みもなくてという場合は上手な歯医者さんということが言えるかと思います。

 

余談になりますが麻酔の治療費はいくらかと聞かれることがありますが、一般的な浸潤麻酔というものは380円、そして麻酔が必要となる治療の多くは治療費の中に麻酔代も含まれており、麻酔をしてもしなくても治療費が変わらないものがほとんどです。したがって、麻酔をすることで歯医者さんに利益が出ることはなく、むしろ麻酔をしないほうが利益となることが多いのです。

 

②歯ぐきの痛み

 歯の歯石を取るときにも歯ぐきに器具が触れて痛いということもあります。

「あの衛生士さんのお掃除は痛いわ」と思ったり、思わなかったり。

この痛みは一つは歯科医師や歯科衛生士の技術的な問題、もう一つは患者さんの歯ぐきの状態による問題があります。

 

技術的な問題は歯ぐきになるべく触らないようにお掃除を行うことができれば防ぐことができますが、患者さんの歯ぐきが赤く腫れているような状態では少し触れただけでも痛いと感じることがあります。

歯科衛生士さんがその状態を治そうと必死にお掃除するあまり出てしまう痛みであることがあるので、この場合はまず歯ぐきの腫れが引くまでブラッシングで状態を良くするということが必要になります。

 

歯医者側から考える上手な歯医者さん

歯を削る治療を例にとると、まずは麻酔をする必要があるか無いかの判断がしっかりできること良い診断ができている歯医者さんと言えます。

 

なんでもかんでも麻酔をすればいいというものでもなく、麻酔も薬。体に入ることで痛みを麻痺させる以外の影響があります。

これは麻酔に限らず体に入る薬全般で言えることですが必要最低限に使用するということがとても大切です。

 

また、歯を削る道具や機械、切れ味の良い道具を使ってよく削れる機械を使用する

患者さんには全く伝わりませんがそんなことでも痛みを感じにくくする、また後から痛みが出にくくするといった効果があります。

 

歯ぐきに痛みを感じる治療については技術的な部分で痛みを出さないということもとても大切ですが、歯石を取る治療で歯ぐきが赤く腫れた状態のときには普通に治療をしても痛みを感じやすい状態になっています。

そのため腫れが収まった状態で治療を行う必要があります。

そんな時、歯医者さんとしては歯石を取る前に適切な歯磨き方法をアドバイスして、日ごろのブラッシングで歯ぐきの腫れを取ってから歯石の除去を行うのが医学的な面からは正しい方法と言えます。

患者さんからすると

「せっかく歯医者へ来てるのに治療しないで歯磨き指導だなんて、

何なんだこの歯医者は。」

というお気持ちになるのはよくわかりますが実はそのほうが良い治療であると言えるのです。

 

そしてあまり触れていなかった唇や頬を引っ張るなどが痛いと感じることについて。

私たち歯医者は左手にはデンタルミラーと言われる小さな鏡を持っていることがほとんどです。

それを体の一部のように使えるようになるには経験や技術が必要です。

そして頬を引っ張るなど細部に気を使えるかということはホスピタリティにもつながるので“慣れた歯医者さん”“細かな気遣いのある歯医者さん”を見分けるポイントになるかもしれません。

 

まとめ

歯医者さんは多くの場合、『患者さんは少しでも痛い思いをしないほうが良い』という考えでいることが多いので少しでも痛みの出る可能性がある場合などは麻酔を行うことが多いと思います。

 

そこで患者さんとしては

 

・何が何でも痛いと感じたくない

・多少我慢してできるくらいであれば痛みは我慢する

・痛みよりも麻酔で感覚がないほうがよほど嫌だ。

 

このうち自分はどれに当てはまるかを考えて、歯医者さんにそれを伝えておくとよいでしょう。

 

余分な麻酔をするのも、されるのも防ぐことができ、多少痛みがあっても相談の上決めていったのであれば

『痛い=上手じゃない』

とはならずに良い関係を築けるのではないでしょうか。

 

もちろん痛みがないに越したことはありませんが、それだけではない “通” なポイントで歯医者さんとやり取りをして治療の内容をカスタマイズしてみるのも歯医者さんと上手に付き合う方法としておすすめです。

 

治療が痛くない歯医者さんは上手な歯医者さん…であることもそうでないこともある。

 

結局結論を出すことはできませんが、痛みだけにとらわれると『どんな治療でも麻酔を』ということになってしまいます。

 

歯医者さんと患者さんとでしっかりとコミュニケーションを取って、痛くない治療を目指しながらも安全かつ、過剰な治療が無いことがお互いにとって最も良い結果を生むと思います。

 

 

今回もお読みいただきありがとうございます。

次回もまたいい歯医者さんを選ぶポイントをお伝えしたいと思います。

お読みいただいて「こんな歯医者さんはいい歯医者さん?」というご質問もありましたらそちらについてもブログで取り上げさせていただきたいと思いますので、コメントお願いします。

保険の治療で白い詰め物をしてもらえるのはお得なこと?

 

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こんにちは、覆面歯科医です。

前回まではこのブログのテーマである「歯医者さん選び」について、そのベースとなる現在の歯科医院や検索サイトの実態、日本の保険診療についてお伝えしてきました。

そして、いよいよ今回からはいい歯医者さん選びについてさまざまなテーマで書いていきたいと思います。

 

1回となる今回、どのようなテーマにするか悩みましたが歯医者と言えばむし歯治療とイメージする方も多いかと思い、そして私たち歯医者の中では今話題となっている材料価格の高騰についても触れようと『むし歯の詰め物治療』からいい歯医者の選び方についてお伝えしていきたいと思います。

 

詰め物でいい治療、悪い治療。白い詰め物、金属の詰め物。

 

皆さんが普段知ることのない話も交えながらこれらの治療内容、材料について説明し、どんな歯医者さんを選ぶかご参考にしていただければと思います。

 

詰め物治療の種類

むし歯になったらむし歯になった部分、実際にはむし歯の原因菌が感染し、その菌が出す酸により溶かされた歯の質を削って取り除くことが必要です。

削った歯は一部が失われた状態になっているため、元の歯の形に近づけるために詰め物で形作る必要があります。

 

これが私たち歯医者のいう詰め物の治療です。

 

詰め物の治療には口の中で削ったところに直接材料を詰める『直接法』と型を取るなどして口の外で詰め物を作り、それを歯につける『間接法』があります。間接法で作る詰め物は『インレー』と呼ばれます。

 

詰め物治療に使われる材料

直接法に使われる材料はペースト状のものが特殊な光によって硬く固まる『レジン』と言われるプラスチックの材料と『ハイブリッドレジン』と言われるセラミックが含まれたプラスチックの材料が使用されます。

いずれも歯に直接盛り付けて形を整え、特殊な光を当てて固める方法です。

保険ではコンポジットレジンと言われる材料が一般的で、セラミックが含まれたハイブリッドレジンは保険では使用することができません。

 

一方、間接法に使われる材料で代表的なものは『金属』と『セラミック』です。

保険で使用できる金属は『金銀パラジウム合金』といういくつかの金属を混ぜ合わせて作られた合金と『銀合金』で他に金属では『金合金』『白金合金』などもありますが保険では使用することができません。

また、セラミックなど歯に近い色の材料の詰め物は保険では使用することができません。

(レジンインレーという先ほど直接法にも出てきたプラスチックで作るインレーは保険で認められていますが割れやすいなど強度的な問題であまり使われることはありません。)

 

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金銀パラジウム合金の価格変動

私たち歯医者は「パラジウム」という金属を身近なものとしてよく耳にしますが皆さんはあまりなじみのない金属かと思います。

もともと歯の治療には金が使用されていましたが地金の不足から歯科治療における金の代用品として1934年(昭和14年)にパラジウム合金の使用が認可されたそうです。

今から85年も前に認可された、しかも金の代わりとして安さを理由に使われ始めた金属が現代でもまだ日本の歯科治療のスタンダードに根付いていることにも驚きです。

さて、このパラジウム、安さが売りで国の歯科医療費を抑えることを目的として使われてきましたが、近年様相が変わってきました。

 

過去15年間の『金』と『パラジウム』の小売相場価格を比較してみますと1g当たりの価格は下の表の通りです。(フジデンタル株式会社HPより価格引用)

 

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金が不足して高価だからその代用として使うことになったパラジウム。

値段が高騰して今年金より高くなっちゃいました。

今年20193月には金1g 5062円、パラジウム1g 6075円です。

 

先ほども書いたように歯の治療で使われる金属は金や銀、パラジウムなどが混ざった合金ですのでパラジウム単体ではないのですがそれでもこの高騰の影響は受けています。

 

歯科で取り扱うパラジウム合金にはメーカーなど様々ありますがその中の一つ『ジーシーキャストウェル(12%金銀パラジウム)』を例にこちらの相場を示します。(見つかったのが買取価格の相場でしたので小売価格の相場よりやや低くなっております。)(フジデンタル株式会社HPより価格引用)

 

 

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ぐんぐん上がって、直近で歯科材料業者へ問い合わせたところ30gで税込み58320円とのことでした。1g 2,000です。15年前には1g 350ほどでした。

 

金銀パラジウム合金と歯科保険診療

以前もお話しましたが保険診療は治療費が一律で決まっていて2年に一度改定があり、各年で細かな改定があります。

さらに、このような金属の価格変動が影響する詰め物や被せ物治療の保険点数は6か月毎に見直されます。

そして、この高騰に合わせて4月から保険の改定があるかと思いきや、保険点数(つまり、治療費)が上がることはなく据え置きでした。

 

どのようなことかと言いますと金属の詰め物の治療として私たち歯医者は

  • 詰め物を入れる形に削る(1200円)
  • 型を取る(640円)
  • 咬み合わせの記録を取る(180円)
  • 詰め物代(詰める範囲により3,650円/6080円)
  • つける(450円)
  • 接着剤料(170円)

 

とざっとこんな感じの保険治療費となります。

詰め物の覆う範囲によりますがトータル6,290円/8,720となります。

 

そして6,290円の治療費のうち詰め物の金属1gとして約2,000円、詰め物を作ってもらう技工代が約1,000円として詰め物を作るのにかかる金額は約3,000

原価率約50%です。

8,720円の治療費でも金属は1.5gとして技工料と合わせて4,200

これも原価率約50%

そしてこの治療は30分の治療を2日かけて行うとして60分。治療には歯科助手さんのサポートが必要となると時給1,000円分がそのまま捻出、その他もろもろ経費も含めこの治療をすることによる利益はなく、赤字にすらなりかねません。

 

「え、そんな原価率の高い治療が受けられてお得だ!ラッキー」と思われた方、単にうれしいことだけではありません。

 

歯医者さんの工夫

皆さんがお店を経営するとして、利益がでない、または赤字になる商品があった場合どのように考えるでしょうか。

答えは簡単で、『そんな商品をお店に置かない』です。

これは今後歯医者さんでも同じことが起こるのではないかと考えています。

どういうことかというと、保険で金属を使用した治療を避けるようになるということです。

 

先にもお話したむし歯治療の『直接法』や『間接法』について、どの方法で治療をするかは歯医者さん次第であるとも言えます。

簡単な考え方としては小さなむし歯ほど直接法で治しやすくむし歯が大きくなるほどに直接法で治すことが難しいため間接法で治療するというものです。

医学的に根拠があるものとしてはむし歯治療などで歯を残すことを主とする『日本歯科保存学会』という学会が過去の研究から「こんなむし歯治療はこうしたほうがよいでしょう」という内容が記された『う蝕治療ガイドライン』に沿って考えたりもします。

 

金属が高騰すると歯医者さんの頭の中ではこんな感じになります。

 

むし歯を削る

  ↓

むし歯が大きかったな。これはインレーで間接的に治療したほうが良いケースだ。

  ↓

セラミックでできればそうしたいのだけど患者さんは保険治療を希望しているし。

  ↓

保険だと金属か。赤字になるな。どうしよう…。

 

そしてここから先はホケン物語でも出てきたように様々な工夫が飛び出します。

①    赤字だけどやっぱり金属の詰め物で治療しよう
②    もう一度セラミックなどの治療にしないか相談してみよう
③    ここは保険の直接法で治療を行おう
④    (歯によっては保険で白い被せ物を入れられることがあるので)白い被せ物にしよう
⑤    保険では金銀パラジウム合金と請求して実際には銀合金で作って入れよう(誤った工夫)
⑥    詰め物の治療だけど被せ物の治療したことにして請求しよう(誤った工夫)

 

それぞれの工夫について解説しましょう。

①    赤字だけどやっぱり金属の詰め物で治療しよう

 当たり前のようですがすべての歯医者さんがこれを行えないほど今の材料費の高騰は深刻な状況です。

 

②    もう一度セラミックなどの治療にしないか相談してみよう

 患者さんとしては自費を勧めてくることをよしとしない方もいらっしゃると思いますが、患者さんも納得した上であれば良い結果になると思います。

 

③    ここは保険の直接法で治療を行おう

 「保険で白く治してもらった」と喜ばしく思う方が多いと思いますが、意外な落とし穴があるかもしれません。

この方法が悪いということではなく、実際直接法で本物の歯と見間違うかのような治療を行う先生もいらっしゃいます。

ただ、一般的には隣の歯に接している部分が大きく失われた状態を直接治すのはとても高い技術が必要です。また、広い範囲をこの方法で治療すると光で固める際に材料が縮まり、隙間ができることもあります。詰め方が良くないことで汚れが付きやすくなり、治療したところが再びむし歯になる可能性が高くなるというリスクがあります。

5年ほどたった頃、無理をして入れたことで再治療が必要となるレジンの詰め物をした歯がたくさん出てこないことを願っています。

 

④    (歯によっては保険で白い被せ物を入れられることがあるので)白い被せ物にしよう

 こちらの治療は保険診療で前から4・5番目の歯(条件により6番目の歯も含まれる)に被せるCADCAM冠という方法で、金属を使わないため金属の詰め物治療と比べると利益が出る治療です。

これも保険で白くしてもらったと喜ばしく思うかもしれませんが、むし歯治療を行う原則として『健康な歯はなるべく削らずに残す』という考えがあります。

本来詰め物で治療できる歯を被せ物にするということは健康で残せる部分も削らなくてはならないということです。

治療により削る歯は必要最小限であることが望ましいのです。

 

⑤    保険では金銀パラジウム合金と請求して実際には銀合金で作って入れよう(誤った工夫)

 これは不正請求ですのでアウトです。ただ、銀合金で詰め物を作ること自体は何ら問題ありません。患者さんに銀合金を使うことを説明し、患者さんもそれに納得し、保険の請求も銀合金であれば問題なしの工夫です。

銀合金は口の中の環境ではすぐに黒くなるので金銀パラジウム合金と見分けやすいと思います。

 

⑥    詰め物の治療だけど被せ物の治療したことにして請求しよう(誤った工夫)

 同じ保険診療でも詰め物より被せ物のほうが請求できる治療費が高いので不正に請求を行って、利益を上げようとする不正な方法です。

 

 

いかがでしたでしょうか。皆さんならどの方法で治療を受けたいですか。

これらのことについて知っているというだけでも自分に合った治療の方法を選ぶことができるかどうかが変わってくると思います。

 

まとめ

お読みいただきありがとうございました。

今回は詰め物の治療について保険診療で使われている材料の視点も含めてお伝えしました。

保険診療を行う以上、私たち歯医者は与えられた条件の中でいかに良い治療を提供できるかが勝負となっているのです。

材料の高騰により歯医者さんは苦境に立たされていますが、皆さんも自分が受ける治療についてある程度知識をつけることで自分の歯を良い状態にし、守ることができるのです。治療方法については歯医者さんとよく相談し、最も自分に合ったものを選べることが理想ですね。

 

今回のブログをお読みいただき、「保険で白く治療してもらえてラッキー」だけではなく、本当に自分に必要な治療は何かを考えていただくきっかけになれば幸いです。

保険診療のいま

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こんにちは、覆面歯科医です。

前回は歯科医療における衛生管理、感染対策についてのお話をさせていただきました。

これまでに日本の歯科医療における不正請求(付増請求)、無資格医療行為、衛生管理・感染対策についてお伝えしました。

保険診療による恩恵と、保険診療を行うがゆえに起こってしまったことについてお伝えしてきましたが今回は現代とそしてこれからの歯科の保険医療についてお伝えしたいと思います。

 

ホケン物語 最終章 ホケンのこれから

 

ある小さな貧しい国で始まったホケンという制度。

この国では決められた内容のお食事を決められた料金で提供し、一部を国が負担することで国民の誰もが食べることに困らないようになりました。

 

この国ではホケンという制度が始まって約60年の月日が経ちました。

 

とても貧しかったこの国は、国民が一生懸命に働いたことで経済的に豊かな国になっていきました。

もはやホケンが始まったころのように貧しくて食べるものに困る人が大勢いるということはありません。

 

電化製品のある家に住み、車を持って、いい洋服を着て、いい時計をしているという人も珍しいことではなくなりました。

 

旅行にも行きます。

 

しかし、ホケンの制度は大きくは変わらずまだこの国にあります。

時代に合わせて少しずつ変わってはいますがほとんど始まったころのままです。

 

今この国に暮らす人々の多くは生まれたときからホケンがあり、それは当たり前のように生活の中にあります

誰もホケンについて深く考えることはなく、外食をするときはホケンで食事をとるのが当たり前になっています。

 

そしてホケンを提供するお店では不正な請求がある、無資格で調理をしている、衛生管理ができていないといったことはまだまだ完全になくなっていないのが現状です。

 

一部のお金持ちの人やお祝いなど特別な時にホケンではない食事をする人がいますが、まだまだホケンが多くを占めています。

 

貧しさを理由に食事がとれないことがないように『最低限の生活をする上で必要な健康状態にすること』を目的として始まったはずのホケンは時代が変わった今ではこの国のスタンダートとして国民に根付いているのです。

 

これが最低限のラインであるということはほとんどの人たちが気づいていません。

 

この国にはホケンでは食べることができませんがおいしい料理がたくさんあります。

ホケンが始まったころにはなかったような新しい食材や料理方法もたくさん出てきています。

お店の人たちはそんなおいしいものをより多くの人に知ってもらい、食べてもらいたいと思っています。

 

 

ホケンが始まり約60年がたち、さらにこれから先、この国の保険はどのようになっていくのでしょうか。

 

多くの人がホケンについて本当のことを知り、それぞれの料理についてきちんと理解した上で自分に合った料理を選べることが本当に幸せなことです。

 

そして、もちろん不正を行うお店も減り、クリーンなお店ばかりになっていくことが望ましい世の中です。

 

将来、お客さんもお店もみんなの考え方が少しずつ変わることでこの国の人々はさらに健康で豊かな暮らしができるようになっていくことでしょう。

 

終わり

 

 

あとがき

現在の保険診療は1958年、今から60年前のものが基となっています。

当時『最低限度の生活をする上で必要な健康状態にすることが目的』として考えられたものです。

保険の医療費は国の税金から賄われており、国の予算として決められています。

税金であるためなるべく低く抑えられるのも当然です。

 

今後歯医者さん選びについて考えていく中で知っていなければいけないこととして始めた保険診療についてのお話ですがその最後となる今回は現代の歯科保険診療についてお伝えしたいと思います。

 

現代の歯科保険診療

60年前と現代では当然社会は変わり、当時と今とでは多くのことが変わっています。

歯科の保険診療をイメージしやすいように、生活の身の回りの物で考えてみます。

保険と同じように最低限度の生活をする上で必要な状態にすることが目的とするとした場合、

 

例えば保険で国民に腕時計を提供するのであれば時間だけがわかる腕時計となるでしょう。

ストップウォッチ機能にタイマー機能、防水性、デザイン。手巻きや自動巻き。これらの機能などは一切なく、ただただシンプルに時間だけわかればいいのです。

何年と長持ちする上部な材料で作られた耐久性もなく、壊れたらまた同じものを与えるといった感じで、プラスチック製の100円ショップで手に入るようなデジタルウォッチといったところでしょうか。

 

保険で国民に傘を提供するのであれば最低限雨がしのげれば良い傘となるでしょう。

大きさ、デザイン、十分な耐久性はいりません。プラスチックとビニールで作った最小限の大きさの傘といったところかと思います。

 

この例えからもわかるように日本の歯科の保険治療、特にむし歯治療で使用する詰め物や被せ物といった材料を伴う治療についても同じようなことが言えるのです。

 

詰め物などはただ最低限、元の歯の状態に近づけるだけのもので、見た目、耐久性、再びむし歯になってしまう要素などは加味されていません

 

ただ安く、最低限の状態がクリアできていれば良いという考えであることをご理解いただければと思います。

(金属の値上がりによりただ安いという理由で使われた材料が高くなっているのですが、これはまた別の話で。)

もちろんこれは知識、技術などによってそのレベルは一定ではありません。

保険でも良い状態にすることだって可能です。

 

これは保険の治療が良い、悪い、保険外の自費の治療が良いという話ではなく、そういうものなのだという話です。

 

洋服にこだわって、靴にこだわって、鞄にこだわって、時計にこだわって、でも体の一部となる歯にはこだわらず、といった方もいらっしゃいますがこれはおそらくこの現状を知らずに保険の治療のものがある程度のものと認識しているからではないかと思っています。

「歯医者は保険じゃなくて自費の治療を勧めて金儲けばかり考えている。」と思われてしまいますが現状を知っていただいて、あとはご自身で選んで決めればそれでよいと思います。

 

歯医者さん選び

今後[エリア][治療内容][設備、環境][治療][サービス][雰囲気][治療費][オプションメニュー]といった項目について歯医者さん選びの話を書いていこうと思います。

その前にまず、歯科を提供する側である私と患者さんとなる皆さんが保険診療について同じ感覚でないと今後お伝えしていく内容にも“とらえ方のズレ”が生じてしまうと思い、それを防ぐために保険診療やそれによって生じている問題についてお伝えしてきました。

 

日本の歯科治療を考える上でとても重要となる保険診療について皆さんに本当のことを知っていただきたかったのでこれまで保険の話を長々とさせていただきましたことをご理解いただきたいと思います。

 

まとめ

  今回で最後となりました『ホケン物語』ですがいかがでしたでしょうか。

日本の歯科医療と保険診療がどのようなものであるかを少しでもわかっていただけたら幸いです。

 

 いい歯医者さんを選ぶにあたり、設備、環境、治療、サービスなどなど選ぶポイントは多くありますが、まずはその前に、スタート地点に立つ前のこととして、不正請求、無資格医療行為や衛生管理・感染対策といった部分についても考えたうえで歯医者さんを選んでいただければと思います。

 

決してそういった歯医者を選ぶなということではありません。

・飲食店でも多少会計が不透明でもサービスや味が良ければいい

・お店や食器が多少きれいではなくたっておいしければいい

という方がいるように選ぶのは皆さん自身です。

 

ただ、『知らずにいるとお金や健康において損をすることなので知っていると得ですよ』というお話です。

 

今後歯医者さん選びについてもいろいろ取り上げていきますが『こういうほうがいいです』というお話は極力せず、その項目についてのメリット・デメリットなどについてお伝えし選ぶのは皆さんであるということを念頭にこのブログを続けていきたいと思います。

 

歯医者さん選びについて取り上げてほしい内容などありましたらご意見お待ちしております。

今回もご覧いただきありがとうございました。

では今までお伝えしたことをもとに次回からいよいよ歯医者さん選びについてお伝えしていきたいと思います。

これってきれい?

 

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こんにちは、覆面歯科医です。

 

前回は歯科における無資格の医療行為についてお話させていただきました。

違った方向で工夫をしてしまう歯医者さんのお話でしたが今回も同じように歯医者さんの間違った工夫の一つをお話します。

今回は歯医者さんの衛生面、安全面についてのお話です。

 

 

ホケン物語 第5章 ちゃんと洗ってください

 

ある小さな貧しい国で始まったホケンという制度。

この国では決められた内容のお食事を決められた料金で提供し、一部を国が負担することで国民の誰もが食べることに困らないようになりました。

 

お店もさまざまな努力をして限られた条件の中でよりよい食事を提供しようと頑張っています。

 

昔からある定食屋さんでのお話です。

そのお店はおかみさん一人で切り盛りしていて、馴染みの常連さんが多く来るお店です。

 

お客さんは親しみを込めて

「ここのお店は古くて汚いけど、おかあさんの料理は昔から変わらずで、おふくろの味ってやつだね。

やっぱりこの店が一番だな。」

なんて話したりしています。

 

ある日、仕事でふとこの町に来た若い男性が仕事の途中に昼食を食べにこのお店に入りました。

「カレーライス一つください。」

 

「はいカレーライス、お待ちどうさま。」

 

「ん?」

 

出してもらったスプーンに少し汚れがついていたので男性は

 

「すみません、スプーンに汚れがあったので新しいものに変えていただけますか?」

 

「はいはい、ごめんね」

 

変えてもらったスプーンにも汚れがついていました。

 

「すみません、こちらも少し汚れているのですが…。」

 

「あら、ごめんね。今拭くね。」

 

と、腰につけていたエプロンでスプーンをキュッキュッと拭いて

 

「はい、どうぞ。」

 

と渡されました。

 

男性があっけにとられていると、常連のお客さんから

 

「兄ちゃんそんなの気にしとらんで、カレー食べてみ。うまいぞ!」

 

「はあ、でも…。」

 

「ここはおかあさん一人で切り盛りしてるんだから、そのくらいは大目に見なきゃ。」

 

「すみません、お会計ここに置いておきます。」

 

男性は代金をテーブルに置くと食事はせずにお店を出ていきました。

 

「あーあ、もったいない。

あれだね、最近の若いもんはケッペキっていうのか、なんだかねー。」

 

このお店ではおかみさん一人でお店を回すため、お店が終わった後にまとめて食器を洗い、お店が開いている間はさっと水洗いをして食器を使いまわしているのでした。

 

 

この国はホケンが始まったころとは随分変わりました。

この国は今後どうなっていくのでしょう。

 

続く

 

あとがき

皆さんは今回の物語はどう受け取りましたか。

 

「いやいや、汚いし、男性のとった行動は当然でしょ。」

 

「潔癖すぎじゃない?」

 

人それぞれかと思います。

 

物語では食器を洗わずに使い回すという内容で『きたねー』、『ふけつー』という衛生面の問題で済ますこともできますが、歯科医療の場合は単に「汚い」、「不潔」だけでは済まされない問題があります。

それは病気の感染です。

 

今回は歯科医院における衛生面・院内感染といった医療安全についてお伝えしたいと思います。

 

歯科治療に関連する病気の感染

歯科医師や歯科衛生士は治療で患者さんの口の中を触ります。

口の中には唾液があり、また歯ぐきなどからの出血により血液に触れることも多くあります。

 

ウイルスや菌が原因となって起こる感染症(ウイルス肝炎やヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症、そしてむし歯や歯周病も菌によって感染する病気として含まれます。)がありますがその原因のウイルス、菌(細菌)は口の中の唾液や血液の中にも存在します

 

感染の原因となるウイルス、菌に触れた手や器具で他の人の口の中に触れることでそのウイルスや菌が感染し、それによって病気を発症することがあります

 

歯科治療においては単に『汚い』『不潔』ということだけの問題ではなく、『健康を害する』という問題にも発展するのです。

 

歯科医院での感染リスクの実態

残念ながら一般歯科医院では『すべての医院において』という点ではまだまだこの感染への対応が不十分であると言えます。

 

というのもウイルスや菌は汚れと違い、洗っただけでは落としてなくすことはできないのです。

 

手も洗っただけでは不十分、器具もしっかり洗っただけでは不十分なのです。

 

例えば、治療で使うグローブ(ゴム手袋)は患者さん一人に対して1組、使い捨て。

口の中に入れる器具は一回ずつ洗浄・消毒・滅菌(ウイルスや細菌を完全に死滅させて除去する方法)を行う。

滅菌は時間がかかるため、その間に使う器具を準備すると同じ器具を多く持っている必要がある。

歯科医療で行う滅菌の方法は高温、高圧で行うため、プラスチックやビニールなどの材料には行えない。そのためそれらは使い捨てのものとする。

 

といったように手間お金がかかります。

 

これにより、手間とお金を節約することを優先すると感染への対応が不十分となってしまうのです。

 

たとえば2014年、2017年に読売新聞で「タービン(歯を削る際に使用する機械)の使い回し」について取の記事がありましたが、2014年の記事では一般歯科医院の約7が使い回しているとし、2017年でもまだ5が使い回しているという内容でした。

 

これを受けて日本の歯科保険治療も20184月から口の中で使用する医療機器について適切な方法で滅菌した器具を患者ごとに交換するという医院に対しては歯科報酬点数を増やすなどの対応をしましたが講習を受けて申請すれば認められるので実際に行っているかという点からは確実に行っていることを裏付けるものではないと言えます。

 

医療機器の使い回しにあわないためのポイント

・院内や医院のホームページで「滅菌」などについての明記があるか

「この医院では衛生管理をしっかりしています」「医療機器の使い回しはしていません」などを明記していることはまず治療前でも確認できるので、本当にやっているかどうかは別として、そういう意識はあるんだなという確認はできます。

 

・グローブ(ゴム手袋)は目の前で新しいものをつけているか

医院によっては歯科医師が同じ時間帯に複数の患者さんを同時進行で処置を行っていたりすることもあると思いますが、グローブをしたまま現れ、グローブをしてその場を離れるといったことは他の患者さんも含め同じグローブを使い回している可能性があります。

ちなみにグローブをしたまま手を洗っている、アルコールで消毒をしている、これは汚れを落としているだけでウイルスや菌に対しては効果はありません。

 

・器具などが封を切っていない袋から出てきているか

まずは治療するイスへ通されたとき、すでに歯を削る機械などがセットしてあったらまず使い回していると考えて良いです。

最も確実なのは封をした袋から出てきたら滅菌されていると考えて良いでしょうが、袋に入れずに滅菌を行うこともあるので見分けは難しいとも言えます。

 

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そしてこれらは程度の問題で厳密な管理を求めると大病院での全身麻酔手術を行う手術室のようなレベルのお話になってくるのでそれを求めることは現実的には不可能です。

 

その医院が

「どうせ100点はできないんだから90点も30点も同じだろ」

という考えなのか、

100点にはできないけど定められた基準は満たしてより高得点を目指す」

という考えなのか、

これが歯科医院によって変わってくるところかと思います。

 

細かい部分は非常に複雑でみなさんが知るには難しすぎてしまうのでまずは簡単に見てわかるところで判断できればと上の項目を3つあげました。

 

まとめ

今回の話題も前回に引き続き、いい歯医者さんを探すにあたって、[治療][サービス][雰囲気]といったポイントではなく、その前にその医院が間違った工夫をしていないか判断できるかというものでした。

 

そしてもし、歯医者さんでそのようなことに遭遇してしまった場合、

「汚い、やめてくれー、菌がうつるー」の前に

一旦落ち着きましょう。

 

お気持ちはわかりますが一呼吸。

 

大抵の場合、滅菌などの感染対策については

・知っているけどできていない

・知っているからやっているか

のどちらかです。

(ご年配の歯医者さんで新たな情報が入っていないと知らないからやっていないということもまれにあるかもしれませんが…。)

 

その場合患者さんから「滅菌てどうしてますか?」と聞かれると

出来ていなければ後ろめたいので、あまりいいリアクションは期待できないと思いますが、やっているのであればよくぞ聞いてくれたとばかりに目を輝かせて自慢げに語り出すことでしょう

 

それがやっているかやっていないかを見極める一番のポイントになるかもしれません。

 

お伝えしたようにこの感染対策はお金と時間がかかります。

そのため『明日から変えます』とはいかないのが現実です。

みなさんが歯科医院を選ぶにあたって、「そんなこともあるんだー」と知っていただいた上でどう選ぶかはご自身でご判断いただければと思います。

「優しくて上手だから滅菌は別に気にしないよ!」というのであればそれも一つです。

ただ、からだの健康の大切なことなので知っていてほしいことであったというお話でした。

 

 

ご覧いただきありがとうございました。

次回のホケン物語は時代は流れてどう変わっていくかについてお話します。

 

それ、だれがやっていますか?

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こんにちは、覆面歯科医です。

前回は保険治療における不正請求についてお話させていただきました。

違った方向で工夫をしてしまう歯医者さんのお話でしたが請求以外にも気を付ける点があります。

 

今回は歯医者さんで働く人たちに目を向けて、どのようにいい歯医者さんを選ぶかについてお伝えしたいと思います。

 

ホケン物語 第4章 これ、私たちが作りました

 

ある小さな貧しい国で始まったホケンという制度。

 

この国では決められた内容のお食事を決められた料金で提供し、一部を国が負担することで国民の誰もが食べることに困らないようになりました。

 

お店もさまざまな努力をして限られた条件の中でよりよい食事を提供しようと頑張っています。

 

ホケンが始まってからカレーライスがとてもおいしいと有名なお店がありました。

お昼も夜もいつもたくさんのお客さんでにぎわっています。

 

ある日このお店のカレーライスが大好きなお客さんが

「いつもごちそうさまです。今日もとてもおいしかったです。

なんでこんなにおいしいのか秘訣を教えてくださいよ。」

店主に聞いてみました。

 

「うちのお店はホケンでもとてもいい材料を使っているからさ!」

 

確かにそのお店は他のお店に比べるととてもよい食材が使われているようでした。

 

「へー、ホケンなのに大したもんだ。 料理人も腕がいいんだろうし。」

 

「そ、そうだね。」

 

「一度料理人にも会ってお礼をさせておくれ。

いつもおいしい料理を作ってくれて本当に感謝しているんだ。」

 

「いや、いや、今は忙しくて手が離せないからまた今度にでも。じゃ、忙しいので。」

と去ってしまいました。

 

(うーん、そういわれると気になるな。顔だけでもちらっと見たいな。)

 

そう思い、そのお客さんはお店の奥にある厨房が見えるところへ行き、中を覗いてみました。

 

そこにはまだ学生のように見える若い男女二人が一生懸命料理をしていました。

 

実はこのホケンを始めた小さな国ではお店で料理を作る人は国で決められた資格を持っている必要があるのですが、彼らはその基準の年齢には満たしていないように見えました。

 

「あの子たちはとても若く見えるけど料理を作るための資格を持っているのかな?」

そんな疑問を抱きました。

 

 

そんなある日そのお客さんが町を歩いていると学校からあのお店で見た若者二人が出てきました。

 

お客さんは

「あー、君たちはあのお店で料理を作ってくれているんだよね。

いつもおいしいカレーライスをありがとう。

君たちはここの学生さん?」

 

そう聞くと、一人が

 

「実はここで料理をする資格を取るための勉強をしているのです。

 

ですからまだ料理を作る資格を持っていないのですが、内緒であのお店で料理を作っているのです。

 

いけないこととは知っているのですがお客さんが増えてきてやめることもできず、店主も他のお店もやっていることだからと言って…。」

 

後日お客さんはそのことを役所に相談しに行き、役所の人がそのお店の店主と話をすると

 

「資格がないと料理を作ってはいけないことは知っていました。

ただ、忙しくなって自分だけでは手が回らなくなってきたのでついお手伝いに来てもらっていた彼らに料理をお願いしてしまった。

他のお店でもやっていることを知っていたのでつい…」

 

と反省していましたがそのお店は調べのためにしばらく閉めることになってしまいました。

 

そして、また別のお店でも何かあったようです。

 

続く

 

(注:今回は物語の中で料理をするために資格が必要という設定にしましたが日本においては資格がなく調理を行うことは違法なことではありません。)

 

あとがき

私たちの身の回りには資格がないとできない、またはやってはいけないことというものがあります。

 

例えば髪を切る。

家で子供の髪を切ることに資格はいりませんがお店で髪を切るというサービスを提供する場合は美容師、または理容師の資格がなくてはなりません

 

フグの調理をしてお客さんに提供するのも資格が必要ですね。

 

髪を切るのが上手だから、フグをおいしく調理できるから、そんな理由があったとしても資格がないというだけでそれを提供してはいけないのです。

私たち歯科で働く人の中にも資格があり、それぞれ行えることなどは細かく決まっています。

 

 

日本の歯科医療に関する資格と法律

さて、今回は日本の歯科医療現場での資格に関わる問題についてのお話です。

まずは簡単に業種と資格について簡単に説明します。

歯科医師

国家資格です。

歯科医師としての業務や義務に関して規定している法律としては歯科医師法があります。

例えば一般の歯科医院で考えた場合、検査、診断、治療、処方など全般にわたって行うことが可能です。

(うまい下手は別として、法律としてできるかどうかという話です。)

 

歯科衛生士

国家資格です。

歯科衛生士としての業務に関して規定している法律としては歯科衛生士法があります。

この中で

「歯科衛生士」とは、厚生労働大臣の免許を受けて、歯科医師(歯科医業をなすことのできる医師を含む。以下同じ。)の指導の下に、歯牙及び口腔の疾患の予防処置として次に掲げる行為を行うことを業とする者をいう。(第2条)

一 歯牙露出面及び正常な歯茎の遊離縁下の付着物及び沈着物を機械的操作によつて除去すること。

二 歯牙及び口腔に対して薬物を塗布すること。

上記のほか、歯科衛生士は、歯科診療の補助、歯科衛生士の名称を用いて、歯科保健指導をなすことを業とすることができる。(第2条第2項及び第3項)

 

表現が難しいのでやっていいことを簡単に。

 

  • 歯科医師の指示で歯や口の中の病気の予防処置として歯の表面や歯ぐきのきわの汚れを機械を使って取り除く
  • 歯や口の中に薬を塗る
  • 歯科診療の補助
  • 「衛生士です」と名乗って歯科の健康に関わる指導を行う

これらはやってよしです。

 

一般歯科医院での実務で言えば歯石の除去歯の清掃フッ素を塗る。あとは歯科医師の補助です。

 

まずははっきりしているところで言えばレントゲン写真撮影検査注射による麻酔歯を削る根の治療をする歯を抜くこれらは行ってはいけません

 

判断が難しいところは『歯科診療の補助』『補助』ってところ。ほじょ。

これがどこまで歯科衛生士が行っていいのかがはっきりしない言い回しです。

 

  • むし歯を削るのは歯科医師で詰めるのは補助?
  • 型をとって作った詰め物を調整してつけるのは補助?
  • 仮の歯となるものを作って、調整するのは補助?

 

となるのです。

 

ただ、基本的には歯科衛生士さんは歯や口の病気の予防処置を行うっていうところがメイン業務です。

やっていいか悪いかという考え方とは別に、上記のような治療の大切な部分を歯科衛生士が『補助』として行うのではなく、歯科医師が「主たる治療」として行うことが望ましいことであると思います。

 

歯科助手

国家資格はなく、民間レベルで認定資格はありますがなくてもできます。

 

歯科助手として業務を規定している法律はありませんがこれはつまり、歯科医師や歯科衛生士としてだけ認められている業務についてはやってはいけないということです。

 

基本的には患者さんの口の中を触れることはできないと思ってよいです。

(水を吸う道具が口の中に入るなどはあると思います。)

レントゲン写真撮影、型を取る、歯の清掃、これらは一切やって行ってはいけません。

 

レントゲン写真撮影は医師、歯科医師の他に放射線技師という資格でも撮影することができますが歯科医院で放射線技師の方が勤めているケースは非常に少ないと思います。

 

 

歯科技工士

国家資格です。

歯科医院によっては歯科技工士が医院にいることもあります。

歯科技工士としての業務に関して規定している法律としては歯科技工士法があります。この中で

歯科技工士は、その業務を行うに当っては、印象採得、咬合採得、試適、装着その他歯科医師が行うのでなければ衛生上危害を生ずるおそれのある行為をしてはならない。(第20条) 

とありますので国家資格とは言え患者さんに対して直接的な処置を行うことはできないことになっています。

 

無資格者医療行為の実態

残念ながら歯科医院ではこれらの資格では認められていない『無資格』での医療行為が行われていることがあります。

治療が痛くない、説明してくれる、サービスがいい、これらとはまた別の次元としていい歯医者さんかどうか、考えてみましょう。

 

なぜこのようなことになるかというといくつか理由があります。

一つは人件費の削減

人件費を考えた場合、

歯科医師 > 歯科衛生士 > 歯科助手

となりますので

歯科医師ができることを歯科衛生士、歯科助手でできてしまう

また歯科衛生士ができることを歯科助手でできてしまう

ということであれば人件費を抑えることができるという考えです。

これは経営面のメリットがだけが前面に出てしまった間違った工夫です。

 

もう一つは操作が簡単であるということ。

例えばレントゲン写真撮影をすることを考えた場合、やることはボタンを押すだけ。

誰でもできます。

そして歯科医院で扱うレントゲン装置は安全に作られているため、だれがやっても大丈夫と思ってしまうのかもしれません。

 

無資格者がレントゲン写真撮影を行うといった行為については、もちろん違法なことなので実際にどのくらいの医院がやっているかといったデータが表に出ることはなく、実態を知る由もありません。

 

しかし、大学病院や総合病院を除いた歯科医院で、私が過去に勤めた医院はほぼこれに該当しますし、知人の歯科医師に聞いても同じような回答です。

 

無資格医療行為にあわないためのポイント

  • ユニフォーム、名札等でなんの資格かまずは興味を持つ。

医院によってはあらぬ疑いをかけられないように歯科医師、歯科衛生士、歯科助手をユニフォームや名札などで分けたり、医院の中にスタッフ紹介を張り出したりしています。

それを見てこの人は何ができるんだろうと興味を持つことが大切です。

特に分けることもなく、表示もなく、だれが何の業種かわからないのは曖昧にしようとしている可能性もあります。

 

  • 「あれ?これダメじゃない」と思ったらこっそり聞いてみる。 

 もし、遭遇しそうになったら

「あれ、これって衛生士さんでもできるんでしたっけ?」

「あれ、これって歯科助手さんでもできるんでしたっけ?」

ちょっぴり知らないフリしながらも“ダメじゃないかなオーラ”を出す。

すると本当はいけないと知っている場合は歯科医師に変わってもらったりという対応もあります。

 

 

まとめ

今回の話題も前回に引き続き、いい歯医者さんを探すにあたって、[設備や環境][治療][サービス][雰囲気]といったポイントではなく、その前にその医院が間違った工夫をしていないか判断できるかというものでした。

 

 

そしてもし、歯医者さんでそのようなことに遭遇してしまった場合、

「違法だー!今すぐ警察に通報だー!」の前に

一旦落ち着きましょう。

 

お気持ちはわかりますが一呼吸。

本当は正しいかもしれません。

 

せっかくあなたが自分に合った歯科医院として見つけて通院したのですからバッサリと切るのは時期尚早かもしれません。

 

まずは資格について確認し、行ったことについて歯科医師に尋ねましょう

 

そうすることで医院は少なくともあなたへはきちんと法律に沿って対応してくれ、

それをきっかけにあなた以外の患者さんに対しても同じように法律を守ってくれるかもしれません。

 

皆さんは歯医者さんを良くする力を持っているのです。

 

ですからまずは大人な対応で改善を望みましょう。

それでも変わらなければ…、悪いことは長くはできない世の中です。

 

ご参考に今年20191月の出来事です。( 朝日新聞デジタルをリンクしました)

 

https://www.asahi.com/articles/ASM1935RQM19PTIL00K.html

 

このニュースは私たちの業界ではなかなか衝撃的なニュースでした。

 

「あ、ほんとにダメで捕まっちゃうんだ。」という感想です。

 

赤信号、みんなで渡っても捕まるときは捕まるのかと。

 

 

最後にこれは歯科医療に携わる方へ一言。

やってはいけないと知りながらも医院や院長の指示でやらざるを得ない方やらせざるを得ない方、いると思います。

 

「やめませんか?」「やめましょうよ!」

これはなかなか言えませんよね。

 

そんな時はこのニュースを引っ張り、

「先生、これ見ました? 次はうちかもしれないので考えませんか?」

この一言だけでも状況は少し変わるかもしれません。

 

 

ご覧いただきありがとうございました。

次回もホケン物語で、医療安全についてお伝えしたいと思います。

歯医者さんでレシートもらいますか?

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こんにちは、覆面歯科医です。

 

前回は日本における歯科の保険診療について歯医者さんがどう頑張っているかについてのお話をしました。

歯医者さんは限られた条件の中でいろいろと工夫をして何とかいい医療を提供しようと頑張っています。

そして皆さんにはそんな歯科医院の中から自分に合った歯医者さんを探し、選んでいただきたいのですが中には違った方向で工夫をしてしまう歯医者さんがあるのも事実です。

今回は保険の請求についてお伝えしたいと思います。

 

ホケン物語 第3章 そんなの食べてないよ!

 ある小さな貧しい国で始まったホケンという制度。

この国では決められた内容のお食事を決められた料金で提供し、一部を国が負担することで国民の誰もが食べることに困らないようになりました。

お店もさまざまな努力をして限られた条件の中でよりよい食事を提供しようと頑張っています。

 

ある日、お店で食事を終えた5人組がお会計をしていました。

 

「お会計は450円です。」

「はい」

「ちょうどお預かりします。こちら領収書です。」

 

お店から領収書をもらうとそこには合計金額の450円とだけ書いてありました。

みんなで割り勘をしようと考えていたので支払った人は

 

「食事の料金の内訳を知りたいので明細がわかるレシートをいただけますか?」

 

と言うと

 

「申し訳ありません。領収書はお渡ししておりますが明細書はお渡ししていないんです。」

 

という答えが返ってきました。

 

その後、お店を出てグループは支払った人に各自お金を払いました。カレーライスを食べた2人は一人60円、焼き魚定食を食べた3人のうち2人は一人90円。

 

「あれ、みんなで390円だね。お会計450円だったよ。」

 

お店に戻り、レジの人に

 

「先ほど450円払いましたが390円ではないですか?やっぱり明細見せてください。」

 

「少々お待ちください。カレーライス2つ、焼き魚定食3つ、あとサラダが5つですね。」

 

「サラダ?食べてないです。サラダ頼んでないです。」

 

「申し訳ありません。店長に確認してきます。」

 

「お待たせしました。

カレーライスについていた福神漬けと焼き魚定食についていたお漬物の小鉢がこちらのサラダとなっています。」

 

「えー、そんなことあるんですか。

注文もしていないのに付いてきて、それも請求があるなんて...。」

 

その日はひとまず帰りましたが、納得のいかなかった一人は役所の相談窓口へ行き、詳しくお話しました。

そのお店の同じような相談が他のお客さんからも来ているということで役所の人がお店に確認に行くと、実はこのお店は注文していない食事を出したことにして請求していたことがわかったのです。

 

店主は

「ごめんなさい。

利益を出すためにやってしまいました。

お客さんは3割のお支払いだったので、いいかなと思ってしまいました。」

と話していました。

 

その後このお店はホケンの食事を提供することを国から認められなくなってしまいました。

 

そして、今度はまた別のお店でも何かあったようです。

 

続く

 

 

あとがき

皆さんは普段生活の中で“お金を支払う”ということをすると“確かにお金を受け取りました”という領収書と“こんなものを買いました、またはこんなサービスを受けました”という明細書を受け取ると思います。

その両方が1枚にまとまったレシートであることもあります。

(中には高級なお寿司屋さんでの食事のときに合計金額だけ書いた伝票が運ばれてきてドキドキしてしまうこともありますが、)

多くの場合は領収書と明細書で確認できるようになっています。

皆さんは食べてない、飲んでないものが請求に含まれていたらどう思いますか?

7割引きのセール品だから余分に請求してもいいか、とはなりませんよね。

 

 

不正請求とは

さて、今回は日本の保険診療における不正請求の問題です。

「そんなことあるんですか?」

残念ながらあるんです。

詳しくお話していきましょう。

 

不正請求には『架空請求』『付増請求』とありまして、

 

架空請求とは…実際には行っていない保険診療を行ったものとして診療報酬を不正に請求していたこと。

 

付増請求とは…実際に行った保険診療に行っていない保険診療を付け増して、診療報酬を不正に請求していたこと。

 

患者さんは来ていないのに来ていたかのように請求することが架空請求、

実際に来た患者さんにやっていない治療費を請求することが付増請求となります。

物語の場合は付増請求となります。

 

日本の保険診療における領収証と明細書

物語では合計金額の領収書だけを出して明細書を発行していないという部分がありましたが歯科の保険治療については明細書を発行していないこと自体が悪いことにはなりません

平成304月からは保険医療機関である歯科医院は領収証の交付が義務付けられており、保険診療の請求を電子請求(インターネットによるオンラインの請求方法)が義務付けられた医院は明細書を無償で発行しなければならないとあります。(明細発行機能がないコンピュータの使用や一部自動入金機の場合はこの対象にはならないこともあります。)

 

簡単に言うと最近は領収証だけでなく明細書も発行するようにしていきましょうという流れになっています。

 

歯医者さんにかかられたことのある方はご存知かもしれませんが歯医者さんの領収証は

こんな感じのものです。(厚生労働省保険局による参考資料を引用)

 

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保険に(点)とありますが110円として計算しているので要するにそれぞれにかかっている金額です。

 

そして明細書は

こんな感じのものです。(厚生労働省保険局による参考資料を引用)

 

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はっきり言ってよくわからないと思います。

これでも以前に比べるとだいぶわかりやすい言葉が使われるようになっているのですがそれでも多くの方は書いてあることと治療の中で行った検査や処置とを明細で比較してどれがどのことを指しているかわからないと思います。

 

部(基本料、医学管理、検査等)、項目(歯科初診料、歯科疾患管理料、歯周基本検査20歯~など)といってもなんのこっちゃですよね。

 

物語での話で例えると

 

カレーライス:20200円のこと)

 

とは書いておらず。

 

入店料:5点、仕込料:5点、材料I6点、材料Ⅱ:3点、盛付量:1

 

的な感じで細かく分けられているようなイメージです。

 

わかりにくいからバレにくい、

バレにくいからやっちゃおう、

こんな構図もあるのかもしれません。

 

それでもお役所としてはなるべく情報をオープンにして透明性を上げていきましょうということで明細書の提供を促しているのだと思います。

 

この歯科の保険診療点数の詳細についてはまた別の機会にお話ししたいと思います。

 

あれ、おかしいなと思ったら

前述しましたように保険請求においては複雑でわかりにくいものです。

そんな中でも領収証と明細書はよく確認するよう心がけましょう。

そしてその内容で、もしわからなければ「これなんですか?」と歯医者さんの受付で聞いてみましょう

 

保険請求は複雑なので受付の方もわからないといったことも多々あります。

しかし、わからなければ歯科医師に聞いてくれるはずです。

そして先生の説明を聞きましょう。

治療で忙しいときは対応が難しいこともあるので後日でも良いと伝えてあげるとより親切です。

 

説明を聞いて納得できるものであればそれで良しです。

 

納得できない場合はその旨をもう一度歯医者さんにお伝えするといいのですが、

「あまりしつこく聞いて歯医者さんに嫌われるのは避けたいな。」

という場合は、市区町村の役所にある「医療相談窓口」「医療安全相談センター」「医療安全支援センター」名前は色々ありますがそちらで相談に乗ってもらえます。

 

歯医者さんは患者さんにとって保険請求の点数がわかりにくいことであることは百も承知です。

ですからそのような質問にもきちんと対応してくれるかということもいい歯医者さんのポイントの一つとも言えます。

 

不正請求にあわないためのポイント

・歯医者さんでは領収証、そしてもらえるようであれば明細書を必ずもらう

・心当たりのない検査や処置などがあれば確認する

 

ここでは付増請求についてのポイントをあげましたが残念ながら架空請求について患者さんができることは年単位でまとめて送られてくる保険医療機関の受診歴で受診していない日に受診したことになっていないかを確認することでできます。

 

まとめ

いい歯医者さんを探すにあたって、[設備や環境][治療][サービス][雰囲気]等々、選ぶポイントは色々ありますがまずはその前にその医院が間違った工夫をしていないか判断できるといいと思います。

 

そしてもし、歯医者さんでそのようなことに遭遇してしまった場合、

「ぼったくりだー、金返せー!」 の前に一旦落ち着きましょう。

お気持ちはわかりますが一呼吸。

悪気がない間違えや保険の特性上仕方のないことであったりもします。

 

せっかくあなたが自分に合った歯科医院として見つけて通院したのですからバッサリと切るのは勿体ないかもしれません。

 

まずは間違いを指摘して、訂正してもらいましょう。

 

そうすることで医院は少なくともあなたへ同じ過ちはしなくなるでしょうし、それをきっかけにあなたがその医院をクリーンな医院へ変えることができるかもしれません。

 

皆さんは歯医者さんを良くする力を持っているのです。

 

ですからまずは大人な対応で改善を望みましょう。

それでも変わらなければ、悪いことは長くはできない世の中です。

 

ご参考に平成30年10月の出来事です。

https://www.sankei.com/affairs/news/181022/afr1810220043-n1.html

これは赤信号みんなで渡れば怖くないといった中で、トラック100キロ走行で赤信号渡ってしまったクラスのものです。

ただ、小さくたって違反は違反。

横断歩道で歩いての信号無視でも赤信号は赤信号です。

 

 

ご覧いただきありがとうございました。

次回もホケン物語で、歯科の資格についてお伝えしたいと思います。

 

歯医者さんのがんばり

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こんにちは、覆面歯科医です。

 

前回日本での歯科医療における『そもそも保険ってどんなものか』という話をお伝えしました。

 

そして今回はその保険治療に対して歯医者さんがどう頑張っているかについてのお話をしていきたいと思います。

 

「歯医者側のがんばりなんてこっちにゃ関係ないでしょ。」

 

まあ、そう言わず。

 

これも日本でそのほとんどの歯医者さんが保険治療を行っていることを考えると『いい歯医者さんを見極める』のにとても重要なポイントであると思っていますのでどうぞお付き合いください。

 

ホケン物語 第2章 それぞれの努力

 

ある小さな貧しい国で始まったホケンという制度。

 

この国では決められた内容のお食事を決められた値段で提供し、国がその多くを負担してくれることで国民の誰もが食べることに困らないようになりました。

 

ホケンでごはんが食べられるということでお店ではホケンで食事をする人が増えていきました。

 

一方飲食店はというとかなり厳しい値段設定のホケンのメニューの中でどうにかお店を切り盛りしていくべく、試行錯誤しています。

 

 

例えば、提供する商品に目を向けたお店はこのような工夫をしているようです。

 

「今までと同じカレーライスでお皿を少し小さくして出そう。」

 

「食材はどうにかいいものを使いたい。

そうだ、一皿にジャガイモ、玉ねぎ、鶏肉を一切れずつ入れてカレーを出そう。

焼き魚定食もイワシを半分に切って、お味噌汁のワカメも1枚にしよう。」

 

「取引先の八百屋さんはキズがあって売り物にできない野菜をすごく安く売ってくれる!

これなら具がたくさん入ったカレーライスを出せそうだ!」

 

お客さんの数に目を向けたお店はこのような工夫をしています。

 

「座って食べるより立って食べてもらうと一人がお店にいる時間も短くできて、同じ広さでも一度に多くのお客さんに食べてもらえる。

そうだ、立食スタイルのお店にしよう!」

 

「お店を開けている時間を長くすればそれだけ多くのお客さんが来てくれる!」

 

あるいはお店側の働き方に目を向けたお店はこんな工夫をしました。

「忙しくて大変だけどお店にスタッフを雇わず、全部自分でやればその分いい食事が出せそうだ!」

 

これらどのお店もホケンの食事について国に申請するとちゃんとあとからお客さんが負担した残りの金額を払ってもらうことができます。

 

そしてどのお店もホケンのメニューを出しても赤字にならないようにしながら、その中でいい料理を提供したいと頑張っています。

 

そうしたお店の努力によって

 

「あそこのお店はすごく量が多いって有名だよ!」

「あそこは頼むとすぐに出てきて、立って食べるから時間もかからなくていいよ!」

「あそこは量こそ少ないけどほんとにおいしかったからぜひ行ってみて!」

 

とお客さんたちはみな同じ値段でありながら特徴の異なるお店を選ぶようになっていきました。

 

そんなある日、あるお店で食事を終えたお客さんがレジで何かあったようです。

 

続く

 

 

今日のあとがき

どのお店も限られた条件の中でおいしいもの、いいものを提供したいという気持ちは変わりません。

 

一般的には価格も含めてお店が設定して、サービスを提供しますが価格が決まっているとできる工夫が限られてしまいます。

あれもこれもと足していくより、これとこれをと引いていきながらの工夫が迫られます。

そんな中でお店によって『ここだけは絶対に外したくない』というポイントの違いでお店ごとにさまざまな特徴が出るのだと思います。

 

日本では

さて、今回も物語を先に読んでいただきましたがここからは日本の歯科の保険治療についてのお話です。

 

日本の歯科治療は保険治療においては各検査や処置といったものについてそれぞれ診療報酬という料金は決まっており、これは日本全国、北は北海道から南は沖縄まで、東京でもどこでも統一されています。

したがって、治療の料金はテナント料材料費人件費などといった医院側の都合を考慮することはできないのです。

 

そこで歯医者さんはどのようにするか、

 

歯科材料でいうと保険で認められている範囲でより良い材料をより安く仕入れ

 

一人の歯科医師が同時に数人の患者さんの治療を行って時間の短縮を図ってより多くの患者さんを診れるようにする

 

人件費も必要最低限かからないようにするといった工夫をするのです。

 

 

「さっきから歯医者さんは私を診たり、あっちに行ったり、もっとあっちに行って、あ、帰ってきた。」

「診療もして、片付けもして、お会計もして、予約も取って、なんでもできてすごいな。」

といったことを感じたことがあるかもしれません。

 

もちろん、それ以外にも様々な工夫をしてよりよい医療を提供できるようにと考えた結果なんだなと考えてあげてください。

 

保険治療においては、そんな中で各医院が医療を提供するにあたってこれは譲れないと思っていることとあなたが治療してもらうのにこれは譲れないと思っていることが一致すると歯医者さんとのマッチングが良くなると思います。

 

 

ご覧いただきありがとうございました。

次回もホケン物語を通して、保険の請求についてお伝えしたいと思います。

そもそも保険治療って何?

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こんにちは、覆面歯科医です。

 

今回は保険の治療についてお伝えしたいと思います。

日本において医療と保険はとても密接な関係にあります。

 

多くの方にとって普段の生活では病院に行くときに触れる程度であまり馴染みのない話かと思いますが、いい歯医者さんを選ぶにあたって知っておくと良い、というよりは知らなくてはならない内容であるかと思います。

 

「なにやら保険の難しい話が始まりそうな気配がする…」

 

とは思わず、私が勝手に作った物語から保険治療について患者さん側の考え方と合わせて歯医者さん側の考え方についても知っていただければと思います。

 

題して「ホケン物語」()

 

物凄くつまらなそうなタイトルですが今回から数回に渡ってこの物語をお送りして保険についてお伝えしたいと思います。

 

ホケン物語 第1章 ホケンのはじまり

昔々、あるところに小さな貧しい国がありました。

その国は他の国との戦争に負けてしまい、国民みんなが貧しくて元気がありませんでした。

 

食べる物も十分にありません。

 

国の偉い人たちはもう戦争をするのはやめて、この国を豊かで元気な国にしたいと思っていました。

 

そのためにも国民みんなにいっぱい働いてもらいたいと考えていました。

 

しかし、この国には貧しくてごはんを食べることすらできない人がたくさんいました。

 

国の偉い人たちは考えました。

 

「国民みんなが元気になるように、みんなにごはんを食べさせてあげる方法はないかな。」

 

「それならみんなが自分で払うお金を少なくできるように税金で負担してあげたらいい。」

 

「それはいい。そうしよう。」

 

国はそれに『ホケン』という名前を付けて、その国の飲食店にこう知らせました。

 

「これから国が認めたお店はホケンで食事を提供すると料金の7割を国が負担します。」

 

国民からは保険料を集めて、みんなにホケンカードを配り、こう知らせました。

 

「これからはホケンカードを使うと決められた食事が7割引きで食べられるようになります。」

 

飲食店は国からこうも言われています。

「ホケンの食事はメニュー、材料、レシピはこちらが指定する決まったもので作ってください。値段も決まっています

 

ホケンのカレーライスは200です。

じゃがいも玉ねぎ鶏肉カレールーだけで作ってください。

ホケンカードを持っているお客さんからは60円をもらい、残りの140円は後で申請したら払います。

 

焼き魚定食は300です。

魚はイワシです。ごはんお味噌汁をつけてください。お味噌汁の具はわかめだけです。

これもカードを持ったお客さんからは90円をもらって、残りの210円はあとで払います。」

 

あるカレー屋さんは言いました。

「うちは牛肉を使ったビーフカレーがおいしくて評判なんです。」

 

国の人は言いました。

「それはホケンのカレーライスでは認められないので申請しても210円は払えません。でも自分のお店で自由に材料や値段を決めて出していいですよ。」

 

また、ある定食屋さんも言いました。

「うちはサバの塩焼きがおいしくて評判なんです。」

 

国の人は言いました。

「それも自分のお店で値段を決めて、お客さんからお金をもらってください。」

 

ホケンカードは国民全員が持っています。

 

おなかを空かせた国民は安く食事ができることに大変満足しています。

 

飲食店もおなかが空いてもごはんを食べられなかった多くの人々に食事を提供できて、喜んでもらえるのでとてもうれしく思っています。

 

ただ、これまでカレーライスや焼き魚定食は多くのお店が500円前後で出していたのでそのままでは赤字になってしまいます。

そこで飲食店はホケンの食事を決められた値段の中でも赤字にならず、そしておいしいものを出せるようにいろいろと考え、努力しました。

 

皆さんならどのような工夫をしますか?

 

ある店は

「材料費を減らせるように野菜や鶏肉を少しでも安く仕入れよう!」と考えました。

 

また、ある店は

「ホケンではないけどビーフカレーを食べてもらった利益があるからホケンのカレーライスは少ない利益で提供しよう!」

 

中にはこんなこだわりの店主もいるようです。

「うちはこだわりの和食をコースでゆっくり食べてもらいたい。だからホケンの焼き魚定食はメニューに載せないことにしよう!」

 

お店によってやり方はいろいろです。

 

そんなお店の努力もあり、もともとこの国に少なかった飲食店にはホケンのごはんを求めて朝から行列ができるようになっていきました。

 

しかし、このホケンという素晴らしい制度で食事ができるようになってきたころ、この国ではいろいろなことを思いつくお店が出てくるのでした。

 

続く

 

 

今回のあとがき

みなさんは物語を読んでどんなお店がいいお店だなと思いますか?

もしあなたがお店の人ならどのようなお店にしますか?

もしあなたがお客さんならどのようなお店で食事をしたいですか?

答えは人それぞれ違うと思います。

これからいい歯医者さんを選ぶにあたって、この物語で『自分にとっていいお店を探すこと』がひとつヒントになると思います。

 

日本では

さて、話は現実の世界に戻って日本の保険についてのお話です。

それまでにもあった法律に加え、低所得者でも十分な医療が受けられるようにするため1958年に新しい国民健康保険法が成立します。

 

現在の日本の保険による医療はこの約60年前のものが基になり、時代とともに少しずつ変わってきました。

今では当たり前になった保険治療ですがもともとは憲法にもある

『すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。

国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。』という考えがベースにあるのだと思います。

 

したがって保険治療は最低限度の生活をする上で必要な健康状態にすることが目的であって、最高レベルの健康になるためのものではないことを頭に置いておく必要があります。

 

よく患者さんからも「保険の治療って良くないの?」と質問されることがありますが、

 

「この国に住む人がお金のあるないに関わらず誰でも一定水準以上の治療を受けることができるというシステムはとても良いことです。ただ、1本の歯、一人の人間にとっては最良の治療法ではないこともあります。」

 

というのが私の答えです。

国としていい治療と個人にとってのいい治療は分けて考えなくてはなりません。

 

ご覧いただきありがとうございました。

次回もホケン物語の続きから歯医者さんと保険についてをお伝えしたいと思います。

歯医者さんの検索予約サイト

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こんにちは、覆面歯科医です。

 

前回、歯科にも検索予約サイトがあるという内容を書きました。

飲食や美容といった分野で言う『食べログ』『ホットペッパービューティー』のようなサイトで歯科の大手としてEPARK歯科』があります。

 

歯医者さん選びをするのに簡単で便利と思われるこちらの検索予約サイトですが、医療には飲食や美容とは同じように扱えない問題があるのです。

そこで今回はこの歯科医院の検索予約サイト『EPARK歯科』についてお伝えしようと思います。

 

どんなサイト?

EPARK歯科』のサイトでは前回『食べログ』『ホットペッパービューティー』を参考にして歯科医院を選ぶ基準として考えたカテゴリで挙げたような内容で検索できるようになっています。

 

具体的には[エリアから探す][治療内容から探す][ネット予約:ネット予約空き状況][診療曜日]:土曜診療、日曜診療、祝日診療[診療時間]:18時以降、20時以降[施設情報]といった項目から検索できるようになっています。

 

また、各歯科医院の紹介ページには『食べログ』や『ホットペッパービューティー』と同じようにの数で評価がされていて、口コミなどで比較できるようになっています。

 

もちろん歯医者さんを選ぶ方にとってこのような検索予約サイトはとてもありがたいと思いますが、実はこれでいい歯医者さんが選べるかというと甚だ疑問に感じてしまうところがあります。

 

医療としての特性

そもそも飲食美容医療と並べたとき、飲食・美容と医療については同じものとして扱えない事情があるのです。

どういうことかと言いますと厚生労働省が設ける「保険医療機関及び保険医療養担当規則(以下「療担規則)」という規則で保険医療機関の「経済上の利益の提供による誘引の禁止」というんものがあるのです。

これは簡単に言うと『歯医者さんはお金を渡したり、割引のサービスをして患者さんが自分の医院に来るようなことをしてはいけません。』ということです。

 

この規則により歯医者さんは検索予約サイトにお金を払って患者さんを自分の医院に呼んではいけないことになっているのです。

 

ここで注意するのはこの規則は『保険診療を行う上での規則』という条件であるので、すべての歯科医院に対しての規則ということではなく、保険医療機関に対して適応されるということです。

つまり「保険治療を一切取り扱わず、すべて自費治療だけです」という歯科医院については問題ないのですが、実際ほとんどの歯科医院は保険診療を行う施設として届け出ているため、その多くはこの規則が該当する医院といえます。

 

「え、じゃあこれ使って歯医者行ったことがバレたら捕まるの?」

いいえ、これを使ったからと言って患者さんは捕まりも罰を受けたりもしません。

 

「よかった。じゃあ、この検索予約サイトの会社に罰則があるの?」

いいえ、サイトはサイトで運営して問題ないようです。

 

「それなら問題ないね!よかった。」

実はこれを利用して患者さんが来た歯科医院には問題があるのです。

 

今のところ前例はなく、現実的にはまだそこまで厳しい取り締まりではないのですが厚生労働省が決めている規則なのでそれに違反すると指導や監査となったり、それに従わない場合や悪質であると判断されてしまった場合には最も重い処分としては保険医療機関としての登録を取り下げられてしまうことも可能性はゼロではないのです。

 

これは歯科医院として保険治療ができなくなってしまう可能性があるということです。

 

「使う側に罰とかデメリットがないなら別にいいんじゃない?」

ちなみにこの検索予約サイトに歯科医院を登録する場合は登録料として年会費を払い、また患者さんがこのサイトから歯科医院へ電話やネット予約を行った場合、1件当たり2000円~3000のサービス料という名の紹介料を払う仕組みになっています。

金額は契約によって異なるのでさらに安い場合もありますが一般的にはこのくらいのようです。

 

13000円!と驚くころ勿れ、確実にきた患者さんの紹介料ではなくそのサイトから電話がかかってきた時点で1カウントなのです。

患者さんが予約ではなく、相談で電話をかけて「とてもよくわかりました。ご丁寧にありがとうございました。」これでチャリーン

どこかの業者さんが「〇〇という会社なのですが院長先生いますか?」これでもチャリーン。なのです。

 

また、最近は電話より便利な予約方法としてネット予約が一般的ですが、こちらもネットで予約した時点で1カウント

ネットで「行けるかビミョーだけどとりあえず予約だけは確保しておこう。んで行けなかったらキャンセルしよう。」と取った予約でもチャリーン

キャンセルになってもお金は返ってきません。

 

というように歯科医院側は純粋に患者さんが来院したら紹介料を払うということではなく、登録している限り余計な部分にも使用料を払い続けていかなくてはならないシステムなのです。

 そして、それによって払ったお金は巡り巡って患者さんの治療費から頂かなくてはなりません

 

「ふーん、じゃあEPARK歯科を使わないようにしよっかな。」

そのように思っていただけたとしてもこのEPARK歯科の予約システム、なかなか手ごわいのです。

現在インターネットから歯科医院を探そうとしたら避けるほうが不可能と言っていいほど至る所にその手が及んでいます。

 

私たち歯科医院側の知っている人間がよほど気を配って見ない限り、インターネットでこの業者を避けることはできないほどなのです。

 

Google『エリア・駅名』『歯医者』と入れたら真っ先に出てくるのがEPARK。そして、それを避けて下の『おすすめ歯科医院〇〇選』みたいなまとめサイトもEPARK『評判の歯医者さん〇選』の紹介もEPARK。「あ、名前の違うサイトだ。これなら」はい、これもEPARK

なかなかの包囲網です。

 

歯科医院がホームページを持っていてもインターネット検索で表示されるのはEPARK歯科のほうが上位であることにより実際に利用する患者さんが多いことから登録する医院さんも多いというのが実際のところです。

 

実は私も...

何を隠そう私自身も現在はそちらの世界から足を洗いましたが過去にこのEPARK歯科と悪魔の契約を行い、登録してサービス料という紹介料を払っていたことがあります。

 

経験しているから言えますが進んで利用したいと思っている歯医者さんは少ないと思います。私はやめてよかったと思っています。

 

私の周りにも登録している歯医者さんはいて、「もうやめたら?」という話になると「それでも患者さんは来るからやめるにやめられないんだよ。」「ほかの歯科医院みんなが一斉に辞めたら確実にやめるよ」と核を保有している国が言うことみたいになっちゃいます。

 

他の歯科医師の方のご意見

今回のテーマについては歯科医師はてなブロガーのspeeさんがとても詳しく説明してくださっており、

 

(続)とある最底辺歯科医の戯れ言集

EPARK歯科、これステマですよね?」

https://spee.hatenablog.com/entry/2016/11/25/165446

 

をリンクさせていただきます。

私の中では勝手にSpeeさんは『EPARK歯科と戦う歯科医師』であるという認識です(笑)歯科医師としてブログを書いていくために影響も受けており陰ながら応援させていただいております。

 

 

また、歯科医師である松岡 周吾さんのブログでも書いてくださっているので

 

Dニュース

「使ってはいけない、EPARK歯科」

http://news.oned.jp/epark/

 

をリンクさせていただきます。

こちらのブログも患者さん視線でもわかりやすい内容になっていてとても参考になります。

 

まとめ

今回は歯科医院の検索予約サイトについて取り上げてみました。

 

ではEPARK歯科に登録している歯科医院が悪い歯医者さんかというと必ずしもそんなことはありません

 

良い医療やサービスをしていてそれを多くの患者さんに提供したいという気持ちで、患者さんが来るきっかけとなる間口を広げけているということもあります。

 

ただ、確実に言えることとしてはEPARK歯科に登録している医院はEPARK歯科にお金を払っているということです。

 

それが良いこと、悪いことということではなく、事実お金は払われていてそれは歯科医院の利益から払われているということであり、患者さんが何らかの形で負担しているということです。

 

残念なことにEPARK歯科の口コミはあまり参考にはなりません。

 

そしてお金を多く払う歯科医院が検索されやすい仕組みになっているのでいい歯医者さんが見つかるサイトではなく、EPARK歯科にお金を多く払っている歯科医院を探しやすいサイト』ということです。

 

広告にお金を多く払える歯科医院はそれだけ利益が多い、たくさん患者さんが来ている歯医者さんという意味では、これもいい歯医者さんを見つける判断材料の一つになるかと思いますが一概にそれだけで判断することは難しいでしょう。

 

そして療担規則のことは知っていてそれでも登録して利用している歯科医院さんについて厳しい言い方をすると歯科医院として守らなくてはいけない法律や規則のうちの一つを守れない医院であると言えます。

 

偉そうなこといってお前もやってたじゃん。

はい。私は恥ずかしながら知識がなく新規の患者さんの予約が入りやすくなる手段としてEPARK歯科に登録しておりましたが、それを止めたのは規則違反になると知ったからが主な理由です。

 

「赤信号みんなで渡れば怖くない」という言葉もありますが、赤信号でみんなが止まるようなクリーンな歯科業界になってくれることを願っています

 

おまけ ~歯科にかかわらず~

また、歯科の検索予約サイトのシステムについて書きましたがこれは『食べログ』、『ホットペッパービューティー』に登録する飲食店や美容院などの美容に携わるお店側の方からすれば「お金払ってるところがサイトで見つかりやすいなんて歯科だけじゃないし、同じだわ!」というご意見もあると思います。

もちろん医療と異なり、飲食や美容では規則に違反するといったことは一切ないのでシステムのお話だけです。

普段お店検索で利用している利用者側としても単に検索して予約しやすいからというだけでなく、お店側の『いいお店にしよう』、『たくさんお客さんに来てもらおう』という努力をしっかり受け止めていかなければいけないと改めて思いました。

 

今回は検索予約サイトについてでしたが最後にお店側(医院側)の気持ちとして「ウンウンウン」と大きく首を縦に振りながら読んだ漫画がありますのでこちらをご紹介します。

 

歯医者とは全く関連ありませんがワインをテーマにした漫画で

「マリアージュ 神の雫・最終章」(作 亜樹 直、画 オキモト・シュウ)

という作品で、

10巻#88「グルメサイトの落とし穴」という回から12巻#105 「同郷のふたり」という回

までのお話が今回のテーマの裏側を知るのにとても参考になり、内容もとても面白かったのでご紹介します。

 

私は作品中で飲食店のオーナーの方が言う

「(グルメサイトの)クーポンは 言い方悪いけど麻薬みたいなものなんです」というセリフにズキンときました。

本当はやめたいけどやめることが難しいという気持ちとして的を得ているなと思いました。

検索予約サイトに登録することの代償や葛藤がリアルに表現されていると思います。

ご興味がありましたら是非読んでみてください。

 

 

ご覧いただきありがとうございました。

次回よりカテゴリ別で歯医者さん選びの内容に進めていきたいと思いますが日本の歯科医療について考えるにあたり、切っても切れないものが保険診療です。

そこで次回はまず保険診療についてお伝えしたいと思います。

いい歯医者さんをどう選ぼう

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こんにちは、覆面歯科医です。

 

今回は『いい歯医者さんを選ぶにあたってどこを見て判断していこうか』ということについて考えていきたいと思います。

 

これから歯医者さん選びについてのブログを進めていく中で、判断基準となるカテゴリを作って、その中で内容をお伝えしていこうと考えました。

 

そこで今回はそのカテゴリ分けをしたいと思います。

 

お店選びはこちらでしています

みなさんにとって身近なことである、『お店を選ぶこと』を参考にしてみたいと思います。

 

まずは飲食店検索サイトの代表として『食べログ』を見てみました。

 

検索を見ると[エリア・駅](例:銀座、渋谷)とありました。まずは場所。

 

次は[キーワード](例:焼肉、店名、個室)とあります。

焼肉は料理の分類、店名。

そして個室、これは設備、環境といったところでしょうか。

 

そして各お店のページに行きますと☆による総合の評価とその横に[料理・味、サービス、雰囲気、CP、酒・ドリンク]とカテゴリ別の評価があります。

 

 

次に前回のブログでも美容院の話を取り上げましたがヘアサロン検索の代表として『ホットペッパービューティー』を見てみます。

 

[エリアからヘアサロンを探す]。こちらもまずは場所です。

 

[入力検索]では入力例として、ヘアセット、前髪カット、ストカール(ストカール)、ヘッドスパ、縮毛矯正、白髪染め、グラデーションカラー、リタッチ、オーガニックカラー、メンズとありました。

これらは[施術内容で検索]と考えればよろしいでしょうか。

 

また、[ヘアスタイルから探す]という欄もありました。

 

各お店のページに行きますとこちらも☆による総合の評価と別に[雰囲気、接客サービス、技術・仕上がり、メニュー・料金]のカテゴリ別の評価で構成されています。

 

このような視点で調べて気が付いたことはお客さんが評価する内容に飲食店のコストパフォーマンス美容院での技術といったことが入っていたことです。

実際のコストパフォーマンスや技術は、提供する側にしかわからないことであると思いますが、コストパフォーマンスを高く感じたか、技術を高く感じたかというお客さんがそう感じたかがとても大切なんですね。

同じように私たち歯科でもいい治療と患者さんがいい治療と感じたかは別の話。患者さんがどう感じたかもとても重要なのだと改めて実感しました。

ちょっと話が脱線してしまいましたのでもとに戻します。

 

これらを歯科へ

ではこれらを歯科医院に置き換えてみたいと思います。

少し強引なところもあるかと思いますがご容赦ください。

 

まずは

[エリア・駅]これはどの業態であっても変わりないですね。

 

[料理の分類][施術内容][治療内容]、例えばむし歯治療、歯周病治療、小児歯科、矯正歯科といった項目でよろしいかと思います。

 

[設備、環境]は歯科でも個室ありとかキッズルーム付きなどでしょうか。

また、環境としては歯科医院では日曜日や祝日にやっている、夜も遅い時間までやっているなどがポイントになると思います。

 

[料理・味]、[技術・仕上がり]は[治療]そのものについてとします。

治療といっても細かく分けると知識技術予後(治療のその後の経過)などがこれに当たるでしょう。

 

[サービス]、[接客サービスは歯科でも受付やスタッフの対応といった[サービス]に該当します。

 

[雰囲気]、これは医院の内装であったり、またはスタッフを含めて医院で働く人たちから受ける印象などもあるかと思います。

 

CP]、[料金]といった料金については歯科の場合[治療費]として保険・自費で治療費と考えます。

 

[酒・ドリンク]や[メニュー]は[オプションメニュー]としてある治療としてホワイトニングやクリーニングといった主には美容・審美・予防といった部分での治療プラスαのオプションプランの取り組みや特徴と考えました。

 

まとめ

以上を踏まえ、歯科では医院選びを判断する基準として

 

全体として

[エリア]、[治療内容]

 

各医院としては

[設備、環境]、[治療]、[サービス]、[雰囲気]、[治療費]、[オプションメニュー]

 

このようなカテゴリに分けて、今後歯医者選びについてポイントをお伝えしていければと思います。

 

ちなみに、今回参考にさせていただいた検索・予約を目的とした『食べログ』や『ホットペッパービューティー』のようなサイトですが実は歯科にもいくつかありまして、その中でも最大手なのでがEPARK歯科』というものです。

 

そちらでは上でカテゴリしたようなものに近い内容で歯科医院が評価され、口コミもたくさんあります。

検索して電話やネットでも予約が取れます。

あら便利。

 

『なんだ、そんなのあるならもういいじゃない、それ見て探すわ!じゃ、お疲れ!』

 

と、そうもいかないのです。

これがまた議論の余地ありなサイトであったりするのです。

 

ご覧いただきありがとうございました。

カテゴリ別の内容に進む前に、

次回は歯科検索・予約サイトについて一度お話したいと思います。

 

コンビニと比べられちゃう

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こんにちは、覆面歯科医です。

 

今回は歯医者さんを選ぶにあたってまずはその実態について知っていただきたいと思います。

 

「そんなこといいから早く歯医者選びを教えてよ!」という声もあろうかと思いますがどうぞお付き合いください。

 

歯医者の数と言えばコンビニ!

まずは数の話をしていきましょう。

 

あなたの近所に歯医者さんは何軒ありますか?

私の周りにも歯科医院は多く存在しています。

 

歯科医院の数の話になると決まって出てくるのがコンビニの軒数との比較。

『歯医者さんはコンビニより多い』

もう常識となりつつあるこの話。

 

歯医者をしていると必ずと言っていいほど「コンビニより多くて大変でしょ?」と聞かれます。

 

これは過去に週刊誌が

 

『歯科医院はコンビニより多い』

        ↓

『歯科医師が過剰にいる』

        ↓

『歯科医院が患者の取り合いをしている』

        ↓

『患者が少なくなった歯科医師は収入が減っている』

        ↓

『一部の歯科医師が収入を増やそうと悪いことしてるんじゃないか』

 

という報道をしたネガティブなキャンペーンによって広まり、

『歯医者さんはコンビニより多い』

というフレーズが独り歩きしてしまったのだと考えます。

 

コンビニは生活の中で身近な存在としてイメージしやすく、その数だけを単純に比較するといったポイントについてはとても分かりやすい表現であると思います。

 

多いの少ないの?

では実際には歯医者さんは多いのか少ないのか。

だけでなく、その中身にも目を向けて考えてみたいと思います。

 

先ほどでた歯医者さんとコンビニ。

 

最近のデータを見ると歯科医院の数は68,791軒(厚生労働省 医療施設動態調査 2018年1月末概数)。

そのうち東京都だけでも10,659軒あるとのことです。

 

対してコンビニエンスストアの数は55,310軒(日本フランチャイズチェーン協会 コンビニエンスストア統計データ2018年1月度)。

 

歯科医院数 68,791軒 > コンビニエンスストア 55,310軒

 

確かにコンビニより歯科医院のほうが多いです。

 

一般診療所、つまり内科、外科、皮膚科、耳鼻科、眼科、整形外科、小児科といった医科の診療所を合わせた数は101,837軒(厚生労働省 医療施設動態調査 2018年1月末概数)となっており、歯科単科で医科複数科合わせた数の7割弱というのは多いように感じます。

 

しかし、コンビニエンスストアで買い物をするときのことをイメージしていただくとわかると思いますがさっと商品を選んで、さっと買って、お店の滞在時間はそう長くないと思います。

 

先ほどの統計データをみますと1か月の来客数はなんと約13億人、お客さんが一人につき買い物をする単価は629円でした。

 

レジで店員さんが一人のお客さんに対応する時間はせいぜい数分といったところではないでしょうか。

 

一方歯科医院はというと治療で考えた場合、歯科医師とアシスタント(歯科衛生士や歯科助手など)で患者さん一人にほぼ付きっきりで対応し、治療内容にもよりますが1回の治療に30分程の時間をとることが多いです。

 

これはコンビニでの店員さんとお客さんの関係性とは異なるものです。

 

また、同じ医療でも例えば風邪をひいて内科を受診した時を考えますと診察して、薬を処方してもらうという治療であれば5分~10分程でしょうか。

 

私は歯科医院の働き方は美容院に似ていると考えています。

 

美容院はカットする美容師さんとそれをサポートするアシスタントさんでお客さん一人にほぼ付きっきりで対応しています。時間も大抵30分以上はかかると思います。

 

ではその美容院の数はというと美容所数237,525軒(厚生労働省 美容院概要)ということで歯科医院よりも多くあります。

 

美容師さんの数も全国に美容師数496,697人ということで資格を持っていて働いていないという方もいらっしゃるかと思いますが約50万人います。

 

一方私たち歯科医師の数はというと104,533人(厚生労働省 2016年医師・歯科医師・薬剤師調査概況)。

このうち診療所(一般の歯科医院)に努める歯科医師数は89,166人でした

 

ここで言いたいのは

「歯科医院より美容院のほうがもっと多いんだから歯医者ばかりコンビニと比べるな!」

ということではなく、その中身の話です。

 

歯医者さんてこんなところ

先ほど歯科医院は美容院に働き方が似ていると書きましたが、歯医者さんの患者さんと美容院のお客さんにも似ている点があると考えております。

 

もちろん歯科医院へ行くのはむし歯や歯周病などの歯や口の病気があって困っているからという理由だと思いますが、一方定期的に健診に行くクリーニングをしに行くといった面もあります。

 

一般的に医科では病気になったら受診する。

では健診は?

職場や学校、または市町村などの自治体により毎年健康診断を行っている方が多いのではないでしょうか。

 

美容院はというと髪が伸びてきたら切るという考えですと女性と男性で頻度こそ変わると思いますが定期的に行くところと言えます。

歯医者でいう歯石が着いてきたら取るという考えはどちらかというとこれに近いと思います。

 

つまり歯科医院は医科診療所と美容院のそれぞれの患者さん・お客さんの特性が合わさった独特の施設ということができるのではないかと思います。

 

日本ではまだまだ『歯医者さんは歯が痛くなったら行くところ』という考えの方が多いので、その考えで医科と比べると数が多いと思われてしまいます。しかし、『悪くならないように定期的にチェックとお手入れをしに行くところ』という視点で考えると美容院と比べてそう多くない数ではないかと思っています。

 

日本は歯医者さんへは悪くなってから行く方が多いのですがヨーロッパやアメリカでは歯医者さんへは『悪くならないために行く』という考え方が一般的で何はなくとも定期的にいく方が多くいます。

 

そんなこともあってか日本では人口10万人に対する歯科医師数は82.4人 (厚生労働省 2016年医師・歯科医師・薬剤師調査概況)に対して、アメリカは人口1,000人に対する歯科医師数は1.64人(WHO 2017年)とありました。

同じ割合にしますと日本は人口1,000人に対する歯科医師数は0.84人なのでアメリカの1.64人の約半分

 

日本の人口1,000人に対する美容師数3.91人と比べるとそう多すぎるということはないと思っています。

 

まとめ

・日本に歯医者さんは約6万9千軒ある。

・『痛くなったら行くところ』としては数が多く、『悪くなる前に行くところ』としては多くない。

・『歯医者さんはコンビニより多い』という数だけの話に惑わされないで!

 

結論

「歯医者はコンビニより多いから選ぶのは大変だ」と先入観を持たず、しっかり内容で歯医者さんを選べるように心がけましょう!

 

 

 これが私なりの「歯科医院・コンビニ問題」(勝手に命名)の答えです(笑)

とは言え全国69,000軒ある歯医者さんから自分にあった1軒を選ぶのは簡単なことではですよね。

 

次回は歯医者さんを何で選ぶかについてお伝えしたいと思います。

覆面の理由

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こんにちは、覆面歯科医です。

これからこちらのブログでは歯医者さん選びについてみなさんのお役に立てる情報をお伝えしていこうと思っていますが、まずはこのブログを書く “” について自己紹介をしたいと思います。

 

経歴

私は歯科医師をしており、これまでに大学病院総合病院の歯科一般の歯科医院の勤務を経て、今は自ら開設した歯科医院の院長として日々診療を行っております。

 

今後歯医者さん選びについてお伝えするにあたり、一般の歯医者さんを中心にお話をしていきますが大学病院や総合病院の歯科のことについても経験に基づいてお話できると思います。

 

ブログを書くのは今回が初めてで、もともとアナログ人間であるためインターネットで自分の考えを世に出すということに不安もありましたが自分の得意なことで誰かの役に立てるならと思い、始めてみました。

 

はてなブログを有料のproにしたり、ドメインをオリジナルにしたりというのはブログ素人のため早々にあきらめてやめてしまわぬよう自分へのプレッシャーとして取り入れました。

 

ですので、ど素人の『pro』利用者です (笑)

 

ブログはまだまだ読みにくいところもあるかと思いますが少しずつ勉強してレベルアップできるよう努めていきますのでよろしくお願いします。

 

では本題に入りましょう。

 

本当に歯科医師?

はい。

とは言っても覆面歯科医として素性を明かさず匿名でブログ書くことで信憑性がないと思われてもしかたありませんね。

その真偽については今後書いていくブログの内容をもって本当に歯科医師が書いていると信じてもらえるようにしていきたいと思います。

 

匿名だからウソとかデマとか書くんじゃない?

ブログなので個人的な見解をお伝えはしますがデータなどはより新しい、より正確なものを提供できるようにしていきます。

 

正体は明かさないの?

では、なぜこのブログで私は素性を明かさずに覆面でいるかについてお話したいと思います。

 

理由は大きく2つあります。

 

一つは本当のことを書きたかったから

 

もしかするとこれは歯科に限らずどの業界にもあることかもしれませんが私たち歯科の業界には一般の方(患者さん)にはできれば聞かれたくないことがあります。

 

歯医者さんを選ぶために必要な情報を提供する中で『理想的な話』『オブラートに包んだ表現』だけではなく、本当の話をしなくてはいけないと思っています。

 

しかし、他の歯医者さんの目を気にしていると本当のことも書けなくなってしまいます。

 

「あいつがあんなこと書いたから!」と他の歯医者さんの矛先がこちらに向かないようにするためにも素性を隠させてもらっています。

 

 

そしてもう一つの理由は広告的な要素を除くためです。

 

自分を含め一部の医院を良く言って上げるようなことや他の医院の悪いところを指摘して落とすといったことはせず、すべての歯科医院に対してフェアな立場で情報を提供したいと思っています。

 

このブログを利用して特定の医院をおすすめしたり、宣伝したりといったことは一切しません。

 

Googleの広告があなたのインターネット検索歴などをもとに、どこかの広告を出している歯科医院がこのブログページに出てくる可能性はありますがその広告と当ブログは一切関係ありません。)

 

というのもこのブログを立ち上げるにあたり、「歯医者さんの選び方」といった内容をブログやサイトなどで取り扱っているものを探してみたところ、

 

実名を出している歯科医師のアドバイスは説得力もあり、とても良いものでしたが表に出てもよい情報をもとに作られた内容のものが多く、踏み込んだことは書いていません。

 

また、『歯医者さんを選ぶポイント』として読み進めていくと最後に『お困りの方はぜひ当院に』というしめくくりのものや『おすすめする医院〇選』というものが多くありました。

 

当ブログはそのようなものとは異なった切り口からみなさんに情報を提供していきたいと考えております。

 

まとめ

このブログの目的は

 

匿名で歯科の業界暴露をすることではなく、

 

自分やある特定の歯科医院の宣伝をしたり、他の医院の悪口を言ったりすることではなく、

 

より多くの方に本当のことを知ってもらい、そのうえで自分にピッタリあった歯医者さんを選んでもらうこと。

そしてその歯医者さんと良いお付き合いをして健康になってもらいたい

 

ということです。

 

つまり、このブログをきっかけにしてみなさんに健康になってもらいたいというのが本当の願いです。

 

 

痛い、怖い、面倒くさい

 

と思われがちな歯医者さん、そもそも歯医者すら敬遠している方にもこのブログをきっかけに「どれ歯医者にでも行って確かめてみるか」と思っていただければ嬉しいです。

 

以上のような理由からこのブログで私が覆面をしたままでいることをご理解いただきたいと思います。

 

 

次回からは歯医者さん選びをするにあたって現在の歯科医院の実態についてお話していきたいと思います。

『歯医者さん選び』のためのブログをはじめました

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はじめに

はじめまして。

皆さんはかかりつけの歯医者さんをお持ちですか?

その歯医者さんはいい歯医者さんですか?

どちらも「はい」という方はとても幸せな方だと思います。

 

日本に数多く存在する歯科医院の中から自分に合っている歯医者さんを見つけ出すのはそう簡単なことではありません。

 

私は普段歯科医師をしていて、医院など診療ではないところで出会う人に自分が歯科医師であることを伝えるとまずは現在の歯の悩みや疑問についてのお話があり、そのあと

 

「いい歯医者さん知らない?」

 

と質問されることがよくあります。

 

また、しばらく連絡が疎になっていた友人からも久しぶりに連絡をもらい、歯や口のことで悩んでいる話を聞き、どのような歯医者さんを受診すればよいかと相談を受けることがあります。

 

詳しく話を聞いてみると

 

・『とにかくおすすめの歯医者を教えてほしい』

 

・『今通っている歯科医院はあって、そこがいい歯医者さんなのか知りたい』

 

・『しばらく歯科医院に行っておらず新しく探すにしても歯科医院がたくさんあり一つに決められない』

 

・『現在悩んでいることについて専門性の高い医療を受けたい』

 

とさまざまです。

 

そういった方々の歯医者さん選びについての相談を聞くと「いい歯医者さん知らない?」という質問の中にも多くの悩みや目的が隠されており、意外と自分にあった歯科医院を見つけられないでいる方が多くいることに気づかされます。

 

お店探し

「いい歯医者さん知らない?」という質問は「いいごはんやさん知らない?」という質問に似ています。

 

友達に「いいごはんやさん知らない?」と聞かれたとするとあなたは相手のために自分の知っているお店の中から相手が喜んでくれそうなお店を見つけようとします。

その中から相手にピッタリのお店を選ぶためにその人が何を望んでいるかを知りたいはずです。

 

・ランチなのか、ディナーなのか。

・一人でいく、それとも大切な人と。

・イタリアン、フレンチ、鮨、焼肉、どんな食事?

・多少きれいではなくてもコスパの良い居酒屋、それともミシュランの星があるレストラン。

 

様々な情報を聞いて、それにピッタリとあったお店をおすすめするときっと喜ばれるでしょう。

 

これは「いい歯医者さん知らない?」でも同じです。

 

・住んでいるところはどこで、家の近くを探すか、職場の近くを探すか、多少遠くても通うか。

・何曜日の何時ころに受診しようとするか。

・今どんなことに困っていて、どのような検査や治療が必要か。

・1、2回の治療で終わらせたいか、時間をかけてでもしっかり治したいか。

 

私は相談されたときは細かく情報を聞いてそれにピッタリとあった歯医者さんを選んでおすすめします。もちろん、私ができることは自分をおすすめすることもあります。

 

身近に歯医者さんがいて相談できればよいのですが、多くの場合そうはいかないと思います。まして今通院している歯医者さんにいい歯医者さんを聞くことなんて絶対にできませんよね(笑)

 

残念ながら

はじめからこんなことを言うとガッカリされてしまうかもしれませんが、だれもが満足のいく歯医者さんはありません。それは歯医者さんがどうこうというものではなく、患者さんとなる皆さんが一人ひとり歯科医院へ求めるものが異なるからです。したがって、「とにかくおすすめの歯医者を教えてほしい。」という『ユートピア歯医者さん』を探している方は『自分にピッタリの歯医者さん』を探すことに考えを切り替える必要があります。

 

しかし、いざ歯医者を選ぼうにも必要な情報というのは限られています。また、調べようとしてもなかなか表には出てこない情報もあります。

 

こんなブログを作ってみよう

そこでこのブログでは自分にあった歯医者さんを見つけ選びうまく付き合っていく方法についての情報を発信し、歯医者さん選びの参考の一つになればと思っています。歯科という普段馴染みの少ない話で専門的な内容になることもあると思いますが、なるべくわかりやすいようみなさんが日頃経験しそうなエピソードとあわせてブログを書いていきます。

 

また、同業である歯科医師、歯科衛生士、歯科助手や医療事務といった仕事をする方にも知っていて損のない情報もお伝えしたいと思っておりますのでよろしくお願いします。

 

 

次回はまずこのブログを書く私のことについてお伝えしたいと思います。