歯医者さんのがんばり
こんにちは、覆面歯科医です。
前回日本での歯科医療における『そもそも保険ってどんなものか』という話をお伝えしました。
そして今回はその保険治療に対して歯医者さんがどう頑張っているかについてのお話をしていきたいと思います。
「歯医者側のがんばりなんてこっちにゃ関係ないでしょ。」
まあ、そう言わず。
これも日本でそのほとんどの歯医者さんが保険治療を行っていることを考えると『いい歯医者さんを見極める』のにとても重要なポイントであると思っていますのでどうぞお付き合いください。
ホケン物語 第2章 それぞれの努力
ある小さな貧しい国で始まったホケンという制度。
この国では決められた内容のお食事を決められた値段で提供し、国がその多くを負担してくれることで国民の誰もが食べることに困らないようになりました。
ホケンでごはんが食べられるということでお店ではホケンで食事をする人が増えていきました。
一方飲食店はというとかなり厳しい値段設定のホケンのメニューの中でどうにかお店を切り盛りしていくべく、試行錯誤しています。
例えば、提供する商品に目を向けたお店はこのような工夫をしているようです。
「今までと同じカレーライスでお皿を少し小さくして出そう。」
「食材はどうにかいいものを使いたい。
そうだ、一皿にジャガイモ、玉ねぎ、鶏肉を一切れずつ入れてカレーを出そう。
焼き魚定食もイワシを半分に切って、お味噌汁のワカメも1枚にしよう。」
「取引先の八百屋さんはキズがあって売り物にできない野菜をすごく安く売ってくれる!
これなら具がたくさん入ったカレーライスを出せそうだ!」
お客さんの数に目を向けたお店はこのような工夫をしています。
「座って食べるより立って食べてもらうと一人がお店にいる時間も短くできて、同じ広さでも一度に多くのお客さんに食べてもらえる。
そうだ、立食スタイルのお店にしよう!」
「お店を開けている時間を長くすればそれだけ多くのお客さんが来てくれる!」
あるいはお店側の働き方に目を向けたお店はこんな工夫をしました。
「忙しくて大変だけどお店にスタッフを雇わず、全部自分でやればその分いい食事が出せそうだ!」
これらどのお店もホケンの食事について国に申請するとちゃんとあとからお客さんが負担した残りの金額を払ってもらうことができます。
そしてどのお店もホケンのメニューを出しても赤字にならないようにしながら、その中でいい料理を提供したいと頑張っています。
そうしたお店の努力によって
「あそこのお店はすごく量が多いって有名だよ!」
「あそこは頼むとすぐに出てきて、立って食べるから時間もかからなくていいよ!」
「あそこは量こそ少ないけどほんとにおいしかったからぜひ行ってみて!」
とお客さんたちはみな同じ値段でありながら特徴の異なるお店を選ぶようになっていきました。
そんなある日、あるお店で食事を終えたお客さんがレジで何かあったようです。
続く
今日のあとがき
どのお店も限られた条件の中でおいしいもの、いいものを提供したいという気持ちは変わりません。
一般的には価格も含めてお店が設定して、サービスを提供しますが価格が決まっているとできる工夫が限られてしまいます。
あれもこれもと足していくより、これとこれをと引いていきながらの工夫が迫られます。
そんな中でお店によって『ここだけは絶対に外したくない』というポイントの違いでお店ごとにさまざまな特徴が出るのだと思います。
日本では
さて、今回も物語を先に読んでいただきましたがここからは日本の歯科の保険治療についてのお話です。
日本の歯科治療は保険治療においては各検査や処置といったものについてそれぞれ診療報酬という料金は決まっており、これは日本全国、北は北海道から南は沖縄まで、東京でもどこでも統一されています。
したがって、治療の料金はテナント料や材料費、人件費などといった医院側の都合を考慮することはできないのです。
そこで歯医者さんはどのようにするか、
歯科材料でいうと保険で認められている範囲でより良い材料をより安く仕入れ、
一人の歯科医師が同時に数人の患者さんの治療を行って時間の短縮を図ってより多くの患者さんを診れるようにする、
人件費も必要最低限かからないようにするといった工夫をするのです。
「さっきから歯医者さんは私を診たり、あっちに行ったり、もっとあっちに行って、あ、帰ってきた。」
や
「診療もして、片付けもして、お会計もして、予約も取って、なんでもできてすごいな。」
といったことを感じたことがあるかもしれません。
もちろん、それ以外にも様々な工夫をしてよりよい医療を提供できるようにと考えた結果なんだなと考えてあげてください。
保険治療においては、そんな中で各医院が医療を提供するにあたってこれは譲れないと思っていることとあなたが治療してもらうのにこれは譲れないと思っていることが一致すると歯医者さんとのマッチングが良くなると思います。
ご覧いただきありがとうございました。
次回もホケン物語を通して、保険の請求についてお伝えしたいと思います。